崩れてしまった塔は塔ではない。ならばそれはどう呼ばれるべきか。それは何であるべきか。――恐怖だよ!崩れた塔は恐怖の象徴であり、証明であり。そしてそれ自体でもある。だから人々は塔を造り直さすにいられなかった。塔が恐怖を含有しうると知りながら。故にこの世も塔であるのかもしれない。恐ろしい事だ。[フルーツで積み上げた塔を突付くとそれはいともたやすく崩れ。崩れたそれを積み直しながら、ノーラからアーベルに視線を移し]