―回想・残念な男の話 その2―
[いつ頃から意識し出したかといえば、いつだろうか。
ある日、またいつものように連れ出して雪合戦して遊んでいたら、冬眠から目覚めて徘徊していた山犬っぽい何か? に雪が当たってしまった。
みんな逃げろー、と誰がいったか。子供は蜘蛛の子を散らすように逃げた。とにかく夢中だったが、その時に掴んだ年少の子の腕が、柔らかくって、あぁ、絶対守らなきゃなー、と思った。
まぁ、結局自分がずっこけて手を離してしまって先にいけ、とかいったりもして噛み付かれたが、夢中にモガイテ殴って蹴っ飛ばしたらその獣っぽい何か?も逃げてった。
結果:自分だけ尻を咬まれた。処置が早かったので病気はしなかったしすぐに治った
この事件からしばらく、尻かじりのエーリと不名誉な渾名がついた。でも懲りずに、遊びに来ているミハエルと、そのお付の子供を遊びに誘いにいった。ただ、今度からは自分からは積極的に声を直接かけることなく、貴族様、と距離を置くようになった。
顔をあわせると、あの時の腕の柔らかさを思い出さずにはいられない自分は本気で変か病気かと疑った16の日である。続く]