[>>173 繰り出した銀、それを受けるのは二筋の影。
外した、と糸を引こうとするのと、赤の変容はどちらが先か]
……奥の手……?
[疑問の呟きへの答えは、身を刻む無数の刃。
一つひとつ痛み自体は耐えられぬものではないが──最後に、左の肩へと食い込んだ一撃は、さすがに重かった]
……は……大盤振る舞い……だ、なぁっ!
[声無き囁きに、僅か、目を細めつつ。
強引に引き戻した糸を両の手首に巻きつけ、四翼を大きく羽ばたかせる。
蒼がとけ、現れるのは、銀の獣。
手負いの銀狼は紅を散らしつつ、一度、高く飛んだ後、ふわり、舞い降りた]
……おー、いて。
こっちが死ねねぇと思って、好き勝手やってくれんなぁ。
[紅を零しながら、銀が漏らす言葉は、それでもどこか、軽い]