別に、そーゆーつもりもねぇけどなっ!
[首を狙った銀糸が捉えたのは、相手の左の腕。
そう容易くは取れないか、と声にならない呟きが落ちる]
ま、この反射神経で、世の中渡ってきた節も、一応あるんでね。
……んで? わかったなら、
[言いながら、ぐ、と一度強く糸を引く。
腕一本捉えても、黒狼の存在を思えば油断はできない。
長期戦は不利、との判断は早かった]
どーするってんだよっ!
[言葉と共に、糸にかけていた力を唐突に緩める。
突然崩れた均衡は虚つけるか、否か。
確かめる間もなく距離を詰めるべく、駆け出した]