[一人と一匹を飲み込んだ暴風が治まりかけた頃。上空から二つの影が落ちて来る。気絶した黒狼と───落下に身を任せ、口許に笑みを浮かべている人物] ・・・・・・・・ったく、一回死んじまったじゃねぇか。倍にして返すぜ!![空中で器用にくるりと回転すると、蓄えた力を足へと集め、蒼目掛けて蹴り落ちて来る。砕けたシェードの奥で、紫の瞳が楽しげに細められた。落下速度を乗せた蹴りが容赦なく蒼の頭上へと迫り、避けようとするその胴を捉え、蹴り飛ばす。落下の衝撃で地面からもうもうと砂煙が立ち上った]