…あ、
[ユーリーが駆け寄るのに、小さく声を上げる。
少し表情が崩れていたから慌ててむすりと眉を引き絞り
口元を覆うと膝にまた、ぽたりと血が落ちた]
――俺、今、血の匂いしてる。
[菜食主義の男は、厭じゃないのだろうか、と
少し眉を寄せて手の内から、言葉を零した。
幼馴染が手伝うと言えば一人で大丈夫と我を通しても、
年上の者達に言われて通す気は、無い。
それは幼馴染だけに見せる甘えなのかもしれないけれど。
小石落ちる小道を行く車輪は、ガリガリと硬質な音。
重なるキィと高い音は、少し先の広場近くまで響いた]