─ 実験室 ─
[眠りに落ちると言うより、徐々に天国の階段をのぼって行くようなダーヴィッドの様子に、沈黙していた。
自分が伝えた意思を。腕の中で落ちる途中、ダーヴィッドが彼に伝えようとした言葉を。ぐるぐると考える。選択を迷う。
当たり前の事だが、自分自身の命は一つしかなかった。
瞬きの回数が多くなり、金の巻き毛は蛍光灯に反射してキラキラ光り、自分では邪魔に感じられる。]
ダーヴィッド?
何かが、起きて──いる。
[そう言いたいのか。実験室まで音は響いていなかったが、時間が無い事は理解していた。]