元歌姫 エルザ

─村の通り─

[2人分の視線がこちらを向く。>>235>>237
少しびくりとしたのは悟られただろうか]

あ、……

[苦手な理由の一つ――虚ろさを宿す目から逸らすようにすれば、自然に少年のほうを見がちになる。
ややぎこちなく頭を下げ返す仕種自体は、他の親しくない他人に対するものとあまり変わりないものだったが]

ごめん、なさい。

[届くか届かないかの小さな声で謝罪を紡ぐ。
届いたところで、その意図を汲み取るのは難しいだろうが。
そのまま2人の横を通り抜けようと近づいて]