─ 厨房 ─
[料理は苦手だった。
自身が口にするなら兎も角、他人の口に入れるものを作るなどレナーテには到底無理な話。
だが調理をメインでこなす者を補佐するぐらいはできる。材料を切り、使った食器を洗い、ライヒアルトが次に使いそうな道具を用意する。
だが決して味付けには手を出さない。
───レナーテは相当な味音痴であったから]
それにしても呑気だとは思わないか?
殺されるだの殺さなければだのと。
[なあ?とライヒアルトへと言葉をかける]
相手は獣じみた化け物なのだろ?
まずはどうやって倒すかを考えないといけないのではないか?
[壁にたてかけたレイピアに視線をやる。
もしも"化け物"が襲ってきたのなら自分は勝てるだろうか?そんな自問自答に意味がないことはわかっているがついつい考えてしまう。]
……人の身で勝てるのか。