― 大広間 ―
素直に考えるなら、此方は誰かが使っていたから、
でしょうか……。
先ほどのご老人のように先に目覚めた人、とか。
[ダーヴィッドの問いかけに、答えながら近づくのは、
未だ眠ったままの青年の元。]
ああ、無理に引きずって行かないで。
僕が目覚めるまで、見てますから。
砂埃も落ち着いてきましたし、ね?
[片手を腰にあてている令嬢に、やんわりと告げる。
――急に動き出したからか、
眠くは無いが酷く身体に疲労が溜まった感覚があった。
その調子を悟られぬよう飄々と、青年の傍に腰を落とした。]