貴方のお仕事、わざと増やすつもりはないもの。
[心配されてくれる方が楽だというゼルに、そう悪戯っぽい笑みで返した。
幼い頃はゼルと少し話しこんだだけでも発作が出たりして、その度に怒られてしまう彼に謝ってばかりで。
何度謝らないでといわれたか解らないけれど、いつしか謝罪は感謝と共に告げるようになった。
それは、彼や彼の母からの、謝るよりも感謝してくれた方が良いという言葉を聞いたからだったように思う。
こちらの視線に気付いて頷きを返したゼルの頭に手を伸ばし、緩やかに撫でて。
ライヒアルトがゲルダの言葉でナターリエを追いかけるのを見れば、ただその背を見送った。]