―会議室―
[ 甘酒の杯を煽った。微かに腹の底に温かな力が生まれるような気がする。]
いるわけねえよ。……人狼なんているわけねえ。
俺は人狼と呼ばれるやつを見たことがないし、お袋だって見たことはないと言っていた。
きっとこれから先だって見ることはない。
……けど、もしもこの中に本当に人狼ってやつがいるんだったら。
[ハーヴェイの見分ける力があれば、という声を耳にする。悔しそうな声。今勇気を出さずしてどうするのだろう。唇を噛み締めた。母親の形見のペンダントを服の上から握り締める]
俺は、そいつが人狼だって、告発する。
……今までに見たことがないから、自信はないんだ。
ないんだが、俺にしか出来ないことだから。