……。
[頭を抱えて大きな溜息をついた。知らず、爪を噛む。そっとデボラの方を窺い見た。この老婆は、既に耄碌していたのだろうか。それとも、この老婆が……]
……そんなはずない。
見分けることの出来る者はただ一人。だからこそ俺の家は代々守られてきたんだ。こんなことになるまで、そんなのただの御伽噺だと思ってたけどな。
第一、贄だなんて……。制約だなんておかしいじゃないか。自警団に狼たちの協力者がいるとでもいうのか。……もし、そうであったとしても、驚きはしないけど。仕組まれているということなのか?
やだよ、ばーさん……。勘弁してくれよう。
また、どこか夢の世界に飛んでるんじゃないのか。
戻ってきてくれよ。ばーさん、しっかりしてくれよう……。