[黒狼は結界の気配が消えたと同時に走り出す。
主の元へと戻らんと。
だが――――
口に桜の枝を咥えたまま、ひとたび気配のするほうへと走り出す。
其処には魂が一つ。
桜の香りに侵食されたソレが彷徨い逃げるまえに、黒い風がごぅと巻き込み駈け抜ける。
魂の一部をその爪で裂き、どす黒い、そう癒える事のない深い傷を残した。]
――――ノロワレヨ!
ノロワレシモノニテヲカケタオロカモノヨ、コノミノノロイヲキサマモウケヨ
ミライエイゴウ、タトエウマレカワロウト
ミタマノキズハ、キサマニアンノントシタセイヲアタエヌ
エイエンヲクルシメ―――ノロワレヨ!
[呪いの言葉を残し、今度こそ主の下へと飛んで*消えた。*]