色々な世界を見てきたからかしらね。危険な場所も沢山あったわ。[逆さまの少女はようやく正立し、黒衣が駆けた方とは逆方向の床に靴先が着くと同時に風が散る]――私じゃないわ。助けてくれてるのは、この子よ。[ゆるりと持ち上げる両手。その上に鎮座する本。頁を五枚失った筈のそれは変わらず独り頁を繰り続ける]サラマンドラ。[ぱたりと頁はその精霊の項に止まる。開かれた本から溢れ出すのは人の頭部大の炎の球。銃の赤から逃れた頁を焼き切りながら、黒衣の胴を狙い、飛ぶ]