ま。そういうなって。
人生でこういうのを試しに受けることなんて、まず無い出来事なんだからよ。
恐怖は飼いならせば、良い武器にもなるしね。
[上擦った様子で後ずさりするライヒアルトに笑いかけるが―――次の瞬間に表情は一変。
愛嬌があり、人を惹きつけていた顔が、獲物を刈り取る捕食者のそれになり、殺気が膨れ上がる]
『―――っ!?』
[道行く人々が、周りの感覚の変化に息を飲み、近くに止まっていたカラスが身の危険を感じた様子で、慌てて飛び立った]
ハァ―――ッ!
[触っていた剣を掴むと、一瞬で抜き放ち、ライヒアルトの首元へ伸び―――]
―――と、まあ、こんな感じか。
[その首元に当てられた、巨大なスプーンを持って、レナーテが笑った]