[嗤う気配。後方へ自身の能力で飛び退きながら、落ちた溜息]
…やだな。俺も、何時かは
[其処まで独り言を小さく紡いで、ふつりと途切れさせる]
[彼女の肩を掠めた短剣は其の儘真っ直ぐに奔って。
けれど硬質な音を床に立てることは無かった]
[振り上げられる左右の腕。
小さな音は耳に届いて、射出される甲の其れに一瞬目を疑う]
ちょ、其れ防具じゃないんですかっ!?
[咄嗟、地に足を着いて後方への力を殺して。その時点で飛び込んできた右の甲羅は左手の拳で無理矢理弾き飛ばす。
其の奥から彼女自身が飛ぶのを認識し、地を蹴って上方へと飛び上がる。左の其れと彼女自身を回避する其の行動は、空中と言う不自由空間へ自身の体を投げ込むことになるが]
[躊躇う間は無い。血の滲む左手を一閃させ、軌道に生み出した短剣数本を扇状に展開させて彼女へと奔らせた]