─岬の木の傍─……さて、と。[一頻り、歌を風に散らして。それから、ゆっくりと空を見上げる。お世辞にも、明るいとは言えない空。視線を下げたなら、荒れる海が目に入る]戻るか。……ここで、凍えて倒れたりしたら、シャレにならん。[冗談めかして呟くと、真白の猫がほんとにね、と言わんばかりに一声、鳴いた。それに、思わずじとりとした視線を向けてから、ゆっくりと歩き出す]