[本が救えたのは少女の命で、その身のすべてではない。
故に少女の身体はあちこちが焼かれ、冷たく裂けて。
力無く崩れ落ちていた頭が緩やかに上がる]
……ぁ、
[ぼろぼろに壊れた本。幾つもの物語を語ったそれは無残な姿を晒し。既に何の力も無いことを思わせる]
…駄目よ、このままじゃ、
[視線は更にその先。崩落した壁の跡]
――ノーム、ノームお願いっ
殺したいわけじゃ、無いの…!
[少女は『力』を失った。
けれど地が『声』に応えるよう、黒衣の上から離れ始めたのは]
[『本』の最期の力か、はたまた、彼女自身の]