[ふわり、場にそぐわぬ柔らかな笑みを浮かべる。
同時に彼女へと突き立っていた刃の内、腕や脚を貫いていた物だけが、傷を広げぬようにとゆっくり引き抜かれて]
間に合うかどうかは、賭けでしたけれど。
[赤く濡れる短剣が、彼女を拘束する糸を切り裂いていく]
[自身を絡め取る糸も新たに生んだ短剣で切り払い、其の腕から抜け出して。
歩む靴裏には、もう蠢く感触は伝わらない]
[彼女の元へと歩み寄り、其処で絡める最後の一束を短剣が裂いた]
急所は外したはずだけど、…大丈夫ですか?
[受け止める為に腕を述べて。
ゆるり、と首を傾ぐ]