[引き抜かれる刃。滑るようなその感覚に僅か眉根が寄る]
……何度やられても慣れぬな、この感覚は。
[動脈は傷ついていないためか、抜き取っても出血は然程酷くなく。身を絡める糸が切られると、重力に引かれるままに脚が、腕が力無く垂れる]
傷なぞ休めばそのうち塞がる。
……が、動かすにはちと無理だな。
[最後の一束、胴を支えていた糸が切られると、ふらりと前方へと倒れ込んだ。けれど青年に触れる前に、その身体が闇に蝕まれていく。まるで触れられるを厭うように]
なかなか愉しませてもらった。
機会があればまた逢おうぞ。
[その言葉と小さな笑みを残し、女はその場から*掻き消えた*]