[問いかけの眼差しと、 一瞬浮かべられた表情と。 前者には首を振るのみなれど、後者に対しては口を開く]翼などなければ、と思ったことがある。……否、今でも、思う――が正しいかな。それ自体、禁忌なのだろうけれど。当然を当然と思わぬということは。[己の、淡い銀の煌めきに触れながら、小さく。 申し出は普段ならば断るところだが、この時ばかりは頷いて、奇形の翼はすんなりとは収まらず、時間をかけて、翼胞の内へと隠される。幾度か、音が鳴った]