さて、と。
[意識は潜る。
集中するように。
そより、と。夜風で木々が揺れ、]
『なら、始めよう。
3、2、1――』
[悪いけれど、──それを待つつもりは無い。
会話する余裕があれば、そう言った事だろうが、そんな隙間時間は無い。
それでも、タイミングとしては1を言い終わる前に、覆い布を固定する為の杭をアルビーネの手元へ向けて投げつける。
銃に当たれば儲けもの、でなくとも手首を掠ればその狙いが一時的に逸れるのでは無いかと、そう判じ。
その隙間を縫って、斜め前の丸太を経由し、生け垣や木々の方へと遮蔽物に隠れようと試みる。
ほんの僅かでも逸れる事があれば、ギリギリ太腿の真ん中を射抜かれる事は回避出来ただろうが──……。*]