知るかよ。
この状況で苦手とか気にしてられねぇだろ。
[踏み潰された影に視線を落としながら]
[聞こえた言葉に声を返す]
[声色には嗤いが乗っていた]
…っと。
[少し浮かせた右足の下から影が伸び、男の足首に掴みかかる]
[視認はしていたが避けるには体勢も悪く]
[掴まれた状態で右足は地面へと降ろされた]
ちっ。
斬り裂け、『颯』。
[足首の影はそのままに]
[手巻き煙草を摘まんだままの右手をその場で横に薙いだ]
[紫煙は刃持つ風となり、切り刻まんと友へと駆ける]
[同時に左足が地を蹴り、風を追うようにして男は友の方へと駆け出した]