カルメンさんは、居られませんでしたね。
[しかし、浮かべた険しい表情は、
見あわされる新緑に穏やかなものに変わった。
けれど、すぐに降りるのはどうだろうか。
ダーヴィッドがノーラを見やる理由を悟る。
どうするのが、良いのか――。
思考を巡らせてる最中、同じく巡らせた視界に、
ハインリヒとブリジットが手を取り合っているのが見えた。
我知らず、密やかに唇の端に、柔い笑みが浮かぶ。]
……どちらにしろ、こちらから開けられないようなら、
一度戻ってもう一つの階段から上がるべきでしょうね。
多分、建物のつくり的に、あちらの階段は3階を隔てて、
そこに繋がっているのでしょうし……。
[ダーヴィッドの報告に、嘆息し。視線を星詠の人に移す。
「大丈夫ですか?」降りることになった時の負担を、
視線で問うた。]