まず最初に。
私は、あの男……アーヴァインを嫌っている。
30年前に、毒を盛られて死にかけたから。
だから、私があの男の為になると考える行動は基本的に取っていない。
瀕死だったあの男に止めを刺したのは、あの男の言葉を聞きたくなかったから。
シーツを被せたのは、私が二度と奴の顔を見たくなかったから。
手向けの花は、私が30年間分溜め込んだ悪意をばら撒く為の物。花言葉の本で調べれば大体分かる。
そして。
私は、あの男が神の元に辿り着いたなどとは微塵も思っていなかった。
むしろ煉獄の焔で焼き尽くされていればいいとさえ思っていた。
[抱擁を解き、語り始める。
語られるのは、故人への憎悪。]