――へぇ? ヤダなぁ、ボクは唯巻き込まれた一般人ですよ。
…そんな手段、持ってるように見えます?
[白銀を手に口にするのは、いけしゃあしゃあと。
右へと持ち替えられた刃に気付けど、振り抜く白銀を押し留められる筈も無く。
往なされた其れには楽しげに――然し小さく舌打ちを零して藍を僅か細める。
しゃりん、と高く響く金属の擦れる音。
しまったと、思うのと相手の踏み込みを見て取ったのはどちらが先だったか。]
――…ッ、
[唯の人であれば、回避も叶わないだろうその一閃。
一歩薙ぎの軌道から逃れようと後退して――しかし刃が身体を捉えるのが早く。ぴ、と腹部へ緋色を引いて裂ける衣服。
然し痛みなど感じぬとばかり、口許には笑みを浮かべたまま。
一度退いた身体を、一歩前へ。心の臓へと目掛け切先を繰り出した。]