おおっと、大事な筆を燃やされちゃ敵わねぇ。[さっと文字から筆を離すと、半身の体勢のまま一歩だけバックステップを踏む]五行、水剋火。喚、甲申乙酉。≪井泉水≫[その先で連ねた文字は真下の地面から水を噴き出させた。けれど水量が少ないためか、奔る焔を相殺するには至らず。男は着物の袖から左腕を出し、その袖でやや威力の落ちた焔を横へと払った。当然、布なのだから焔は燃え移り、左腕を焼こうとする。それを先程噴き出させた水に突っ込み、ようやく鎮火させた]