くく……妾もそこらの者とは違うのでな。
[ぽたり、ぽたり。腹部から零れる紅が地を濡らす。しかし次の瞬間、それらは複数の小さな蝙蝠と化して宙へと飛んだ]
上に立つ者とはまこと面倒なものよ。
妾も眷属が居る故、全く異なるとは言わぬが…。
組織立ったものは好かぬ。
此度は汝に勝ちを譲ろうぞ。
縁(えにし)あらばまた見えようて。
[地に落ちた紅だけでなく、零れ落ちるものからどんどん蝙蝠と化して行き。終には女の身体自体が大量の蝙蝠へと分かれ行く]
ではな。
[その一言を残し、女の身体は完全に無数の蝙蝠へと変わり。甲高い鳴き声と共に闇の彼方へと消えて*行った*]