[出したカードは一度口にくわえ、抜いた刃の切っ先に右手の人差し指を走らせる。
太刀は一度地面に突き刺し、左手に持ち替えたカードで滴り落ちる紅を受けた。
そのまま、紅の滲む指先で素早く複雑な文様を描いていく]
……土下眠る、頑健なるもの。天へと弾けて礫となれ……礫閃!
[紅が描き出したのは、『地』と『波動』を意味するルーン。
魔力こめ、力引き出す言霊と共に地面に叩きつけた。
応じて飛び出すのは、勢いをつけた石礫。
それは目の前の茂みに飛び込み──静寂、一瞬。
憤るような咆哮が響き、飛び出してきたのは]
…………聞いてねぇ。
[通常の三倍はありそうな、巨大猪だった。
野生の獣……というよりは、明らかにモンスターカテゴリです]