―追想・>>2:226―
「いいか、絶対に忘れるなよ。
これは邪術って呼ばれても仕方ないだけの代物だ。
使った命の重さも背負わなけりゃならないし自分の命も削れる。
それでも自分が使わなかったら、死が増えるとわかってる時は」
[この短剣に直接触れるのはあの時以来だ。
その時の親父の目は酷く昏くて怖いとすら思ったのを覚えている]
「使え。それがこいつをよんじまった者の義務だ」
[夜中まで続いた話のそれが締め括りだった。
親父は後に、気分が悪ければお守りだとでも思っとけと言った。
話は記憶深くに沈めて、今回だってそのつもりで持ってきたのに。
こうやって手に持っているだけで、神経がささくれ立ちそうだ]