[重いシールドアタックを受け止める事が出来たのは、剣の属性の力に寄る所が大きい。魔法剣に込められた雷の魔力は、本来雷精の一種である雷獣にとってエネルギーの元ともなり得るものだ。けれど、それを吸収し尽くしてしまっては、剣そのものの威力が落ちる。一撃一撃に、重い力を持つ青年騎士を相手にするには、その加減が難しいところだ]
く…う…!
[右の剣の攻撃は、なんとか相手に届いたようだが>>1298やはり彼は怯まない。痛みに耐え、更に力を込めて剣を押し返され、雷獣の額にも汗が滲む。先刻打撃を受けた右足がずきりと痛んだ]
…ッあ!
[痛みに僅かに気が逸れた隙に、浮いた剣から逃れて、青年が飛び退く]
逃がさない、よっ!
[ここで立て直されては、と、痛む足には目を瞑って、地を蹴り追いすがる。走り込みながら、右手の翠の剣と、左手の金剛の剣を交差させ、刃がとどくぎりぎりまで迫ると、青年の右肩目がけて右の翠の剣を、続けざま、左肩めがけて左の金剛の剣を、袈裟懸けに揮う]