[くろいひとの話はさておき。相殺を逃れた風の刃5つは頬や腕を掠め行き。淡く朱線を作り為したが当人は全く気にしない。頭の上に居た小狐は当たらないようにちゃっかりレナーテの背中に隠れていた]
おー、飛べる程の魔力があるのか。
羨ましいことだ。
[僅かに苦々しげな表情。直線を行く焔の矢が軌道修正出来るはずもなく。矢はベッティが先程まで居たところに着弾し、煙を上げて消えて行った]
捕らえるにゃ量を増やさないと間に合わねぇかなぁ。
ったく、魔力が乏しい人間にゃ厳しいぜ。
[今の一発で吸っていた煙草は消費され、新たに煙草を口へと放る。先程よりは太い手巻き煙草だ]
轟きたる雷鳴よ、縛鎖となりて……っとぉ。
我が剣インフレクシブレよ、猛る焔を宿し縛するを打ち払え!
[二次媒体となる煙での詠唱を行っていたが、足元から蔦が生えて来たのに気付き、剣を媒体とした詠唱に切り換える。ワルーン・ソードから焔が噴き出し、円を描くように回転し切り払うと焔が周囲を舞った。剣での斬り払いと焔によって蔦絡み付きから逃げようとする。ついでに焔は二次媒体の煙草に火もつけて行った]