…ええ、勿論、私に、封印の力はありません。ですが、今なら、結界樹の内部と力が繋がっているのです。私の力はあの場所の水にはとても馴染みやすいですので。
幸い、巫女の浄化の力もまだ十分に結界樹内に残っている筈。
どうぞ、ごゆるりと、虚の力を浄化なさってください。
[「待て!」という慌てた長老の制止の声は、光と人々のざわめきに紛れて聞こえなかったろう]
では、お達者で。
[その瞬間、にっこりと、かつてない程晴れ晴れとした笑みを浮かべたのを見た者も、巫女の他には無く、やがて長老の姿は光の渦に呑まれて消えた]