全部は分かってなんかないよ?
[不思議そうに小首を傾げてみせる。
それもまた相手の怒りの火に油を注いだかもしれない。
爆発的な瞬発力で迫る青年。これはどうにも避けきれそうにない]
ふぅっ。
かぜよ。かぜよ。吹いて。集って。
[一歩だけ後ろに下がり、息を吸い込み唄うよに告げる。
相手の纏う空気を乱そうと吹き付ける風が一陣。
右手の中に集まって棒状の塊となる風が一陣。
矢のように迫る相手に向けて、杖とした風を殴るように叩き付けた。魔の力の一部か、見た目の華奢さよりは重たい一撃]
剣道って、こんなだっけ。
[速さもそれなり。けれど動きそのものはかなり素人だった]