[相手の声に、それでも分かっていることがあるんだと思い、オレはぎりと歯を噛んだ。
相手へと蹴りが到達する直前、周囲を固定していた空気が干渉され、僅かに解ける。
それに気を取られた一瞬を突かれ、殴りつけられる風の塊に対しての対処は遅れた]
ぐ…ぁ、つぁ…!
[周囲の空気が解けたお陰で照準がずれ、殴りつけられたものに直接ぶつかることは無かったけど。
蹴り脚にしていた右足がビキリと悲鳴を上げた。
オレは推進力のまま、相手の横を擦り抜け、その後方へと滑り落ちる。
周囲に固定した空気を支えとして左足で立ち上がると、俺は相手へと向き直った。
右足はしばらく動かせない、腹の傷もあって思うように力が入らない]
く、そ……。
せめ、て…一発……!
[一矢報いたい。
オレの、オレ達の生を狂わせた相手に一泡吹かせたい。
オレは周囲にある空気を、出来るだけ広い範囲で繰れるよう集中を始めた]