[少女はクルリと振り返る。黒髪がフワリと揺れて。仮面のような表情で青年を見上げた]おにいちゃん、だぁれ?[その答も聞かぬ間に、再び桜へと顔を向け]おにいちゃんはしってる?ここのさくらには「したい」がうまっているのかな。おにいちゃんにはきこえる?あのふえのねいろや、すずのおと。[それは誰に聞いても否定された問い。表情は変わらぬままに、青年へと視線を戻した]