[ぐったりと力を抜いて。瞼を閉じてその場を動かなかった。
相手が止めを刺しにくるならまた別だが、あの脚では動けないだろうという目算もあり。半分当たって半分は予想から外れた]
………。
[にやにやと笑う顔は目を瞑っていたから見えなかった。
けれど響く音である程度を察することはできる。だから動けない振りをしたまま無言を通した。相手は気づいていたのかどうか]
――ふぅ。
[静寂が戻ってから33を数えて。
ようやく深い息を吐くと、傷も打撲もそのままの身体を起こす]
なんか厄介そうなひと、だったな。
高井さんの想いが落ち着いたなら、それは良いとして。
[ズキズキと全身に走る痛みに顔を顰めながらもう一度息を吐いた]