[刃が抜かれる嫌な感覚。それに耐え、抜き切られた時に大きく息を吐いた。それに合わせ、左手だけで持っていた方天戟の刃が地に落ちる]
殺されるのは流石に勘弁願うぜ。
他ってのは……。
身体ごと闇に消えたり、俺の渾身の術を片手で受け止めて跳ね返したりとかする奴、かね。
ありゃ人から外れた部類だ。
[傷ついた右肩は押さえること無く。左手は懐を探り正方の紙を二枚取り出す]
艮辛、停滞せし動かざる山。
痛みを止め、紅き流るるを堰き止めよ。
[呪を紡ぎその二枚を右肩の傷口へと貼り付けた。途端、溢れようとしていた紅が止まる]
あー、ちぃと待ってくれるなら傷治してやるが?
[新しく符を書き直していなかったのを思い出して、女にそう訊ねた]