−疾風界−[蒼穹に吹き抜けるは一陣の風。人としての形を取れば、報告を聞きて思い出したか、懐かしき東の衣装を纏った子の姿]やれ、また一騒動か。退屈しなくて好いけれどね。[中啓を口許に当てつ、くすり、微笑。己がその場に居られぬのは残念だが。遅れて追いついた大気の流れ、小さき獣と成り其の肩に降りる]……なあ、僕は、思うんだ。[ふ、と。消える笑み。愁いにも見える貌。指先は肩口の獣を撫ぜる]