―昨夜―
[狩りは二度目。
にも拘らず、同胞の力も借りずに、年配とは言え己よりもずっと体格に優れた大人を引き倒すことが叶ったのは、本能の成せる業か、月の女神の慈悲によるものか。
誰かを呼ばれる前に喉元に喰いつき声を奪う。
振り解かれ逃げられぬように爪を振り上げ手足を貫く。
そうして息の根が止まり切らぬうちに、腹部を裂き、その中身を貪った]
…… ふ、は……っ、……
[小さな獣には大きな獲物。満足するまでの時間は短い。
可食部はまだ多く残されていた]
終わった。大丈夫。
……食べにくる?
[まだ少し酔ったようなこえで、ようやく発したまともな言葉はそれ。
返事が如何だったにせよ、獲物の位置を告げてから、少女はその場を去った]