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[ふと気づく。さっきからスープばかりで、元紅茶に手を出していない。]
[青年は、きっとそれがいけないんだ。
と、ばかりに一つ頷くと、
元紅茶の入ったカップを手に取り一飲み。]
[……………………やはり、甘いものは最高だ。]
[ゆらゆらと揺らめくランプの灯りの下を、少女はゆっくりと踊るように歩いていく。菓子を揚げる香ばしく甘い匂い、どこかから聞こえる手回しオルガンの音色、祭りの開幕の時は、刻一刻と近付いている]
まあ、可愛い。
[屋台の一つに置かれた、美しく彩られた小さな陶器の天使や妖精の置物に目を止めて、少女は立ち止まる。その瞳はうっとりと細められ、目の前の妖精達が踊り回る様を少女にしか見えない世界で見つめている]
んー、んー…。どれも美味しそうなんだけど。
[まさか、ベアトリーチェが着いてきているとは思わずに。
新しく増えた屋台を、時々立ち止まっては一つ一つ確認していく。
口元が寂しいのか、空腹を紛らわす為なのか。
手に持った小瓶の蓋を開けて、星屑を一口。]
ユリアンにぃー?はろー?
[場に不釣合いな息を吐く見覚えのある青年の姿に、
首を傾げつつもひらりと手を振って]
[てとてと、とてとて。
リディのふらふらにしたがって、
子供もふらふら、屋台を見ている。
きらきら光る、ひかりのしずく。
てとてと、とことこ。
名前を聞いて、前を向いた子供は見た。
ユリアンの姿と、その後ろにしのびよる、ちいさな男の子。
腰の位置にタックルする気だろう、後ろから。
注意するか否か、子供は悩んだ。]
[ああでもない、こうでもない、とイメージを模索していた所に、聞きなれた声で名を呼ばれて我に返る]
……って、ああ。リディか。
今日も、食べ歩きかー?
[振り返り、声の主へと片手を上げて挨拶。
肩の上の相棒も、きゅ、と言いつつそれに習った]
いやもう平気〜。熱下がったし。
[心配そうな母親の制止を振り切って、きらびやかににぎわう祭りの中へ。
それでもやはり寒いのか、もこもこに着膨れていたりする。]
食べ歩き、と言いたいところなのだけどねー?
夕食代わりに何を食べようかと悩んでいるのですよっ
目ぼしい主食になりそうなものは、昨日食べつくしちゃったし!
はーい、ヴィントもこんばんはだよっ♪
ユリアンにぃは、今から何処いくの?………って、わ!?
[金平糖の入った小瓶をからから鳴らしつつ、
肩の上の友人とも挨拶を交わして。
途端、相手の腰目掛けて繰り出されるタックルに驚愕]
……んなっ!?
[いつもなら、簡単に気づきそうなものなのだが。
今日は物思いに囚われていたためか他に理由があるのか。
タックルはまともに決まり、バランスが崩れる。
……一応、転ばなかったのは意地のなせる技か]
ってて……。
[バランスを立て直しつつ、くるり、振り返れば。
施設で顔見知りの少年のしたり顔]
くおら、いきなり何すんだよっ!
[声は怒っているようだけど、表情には、微かな笑み]
[ぼんやりとしていると、屋台の男に声を掛けられる]
……僕か?
[そうだと言うように、男はにこやかな笑み。
どうやら、食べ物を売っているらしい。屋台に並んでいるのは、ランプの灯りを受けて艶やかな光を放つ、赤くて丸い菓子。見る角度によっては、紅玉のようにも見える]
[何かと問えば、りんご飴だという返答が帰って来た]
りんご飴。
[初めて聞いた。興味深そうに、繁々と眺める]
[…ガラスのベルが鳴り、店の主は外に出た]
…綺麗…うん。良かった…
[見れば、ランプは吊されており…祭りの時を待ちわびるかのように淡い光を闇に映していた。
…一年一年、ランプの数は増えていった。
もう、何年も前から、祭りの時にだけ顔を出すランプも珍しくはなかった]
…でも。綺麗な光、放てるなら…
[もそもそ。マフラーの下で呟くと、ふと、マダ始まっていないで店の前で、ランプを見つめる観光客の姿が目に入り…小さく笑みを零すと、光を灯されるのはまだかと待ちわびるランプ達を背に、出店が並ぶ道を歩き出した]
[子供はじぃっと三人を見ている。
男の子はとても満足そうに見えた。
ユリアンも楽しそう。
リディは……いつも楽しそうだけど、
今日はおなかが減っているのかな。
苺を買っていけば喜ばれるかな?
そう思いながら、屋台を考える。]
「へっへーん、勝ったー!」
[何が勝ったのか、男の子はそういって、ユリアンになついている。
子供はその様子にうれしくなった。
頬笑みが灯る。きえない、ともしび。]
あー、アイデア煮詰まったんで、気分転換の散歩がてら、メシ食いに行くかな、って。
[リディの疑問に答えつつ。
タックルしてきた少年を捕まえて]
なぁにが勝った、だこのやろっ!
[首抱え込んでぐりぐりと。勿論力は入ってない。
一しきりそれをやってから、少年を解放し]
男なら、勝つか負けるか二つに一つ、真っ向勝負で向かってこーいっ!
[なんか違う]
[道行く途中で旧友に出会い]
[談笑が終わった頃には、とうに日は落ち灯は点り]
[それでも準備で賑わう通りに惹かれてか、すぐに帰る気はせずに]
[吐き出す息は白かったけれど、そのまま通りを歩いて回ることにした]
[何やら賑やかな、そして、どこかで聞いたことのあるような声を耳にして、少女は夢想の世界から戻って来る。振り向いて、視線を向けた先には、子供達と戯れる職人見習いの青年と、顔見知りの少女の姿]
あ…
[一瞬、声をかけようとして、少女は思いとどまった。流れる空気の暖かさに微笑んで、楽し気に見つめている]
[うきうきと、フレンチドッグの屋台に並ぶ。
ピンクの柔らかいソーセージに串を刺し、ドーナツ生地をつけて揚げたものだ。]
んー、シュガー2本とケチャマスタ5本、ケチャップだけのが1本な。
[一応色々迷惑かけたので、差し入れる気らしい]
えぇ?今年は苺ジャムとチョコソースもあんの?マジで!?
[買おうかどうしようか迷い中]
なーるほどっ!あ、じゃああたしも一緒に着いてっていい?
あたしもお腹空いてるから、ご飯食べたいし。
[疑問系で問いかけるも、本人の中では既についていく気満々らしい。
突然のタックルに一時は驚きつつも、
少年とユリアンのやり取りにけらけらと笑いながらも
そのままユリアンの進行方向へと踵を返せば
こっそり後を着いて来ていた少女の存在に漸く気付いた]
……はれ?ベアちゃんはっけーん!
[男の子はぐりぐりされて笑っている。
子供は面白そうにそれを見る。
ユリアンの言葉に、くぅっとうなった男の子。
やっぱり、面白いと思った。
お決まりの言葉は、やっぱり、
そうだろうと思ったものだった。]
「次は完璧に負かしてやるーーー!」
[負け犬の遠吠えと、子供は思った。
それでも子供の視線を感じたのか、男の子は子供を見る。
そしてにっこりと楽しそうに笑って、
手を振りながら、施設に走る。
子供も右手をぱたぱた振って、]
今日も遅くなるよ。
[聞こえないだろうけれど、言っておいた]
[煌めく赤に魅せられて、一つ、購入して]
[くるくると、それを回して]
[色とりどりの光を受け]
[――と]
[横から聞こえた騒がしい声に、意識が現実に戻る]
……騒がしい。
[ぼそり。]
[ふ、と。
こちらを見つめる視線に気づいたのか。
肩の上でバランスを崩してじたじたしていた相棒が、きゅ、と声を上げる。
大きな瞳がくるっと回り、見つめる先にはお下げ髪の少女の姿が]
[そういえば今日…正しくは日が変わった瞬間から妖精祭りが始まると聞いていた気がする。
寝台から離れたがらない体を勢い付けて起こし、窓に近付いて。
カーテンを引き忘れていた窓を押し開く]
……寒い…
[纏うのは部屋着のみ、寒いに決まってる。
けれど身支度を整えていて始まりの瞬間を見逃すのは惜しくて]
[リディが振り返ったから、子供はぺこりと頭を下げる。]
こんばんは、リディさん、ユリアンさん。
[それから、声に気づいていたのか、ミリィを見つける。
子供は頬笑む。]
こんばんは、ミリィさん。
やれるもんならやってみやがれっ!
挑戦は、いつでも受けるぜっ!
[楽しげに走って行く少年を威勢良く見送ってから、リディに向き直り]
んー、まああれだ。
みんなで行った方が盛り上がるし、一緒にいこーぜっ。
[軽い口調で言うのと同時に、リディの後ろのベアトリーチェに気づく。
まあ、施設の子供たちがいる時点で、いない、と言う事もないのだろうが]
よ、祭り、本番だな?
[にぱ、と。そちらにも満面の笑みを向ける。
煮詰まりの憂いは、大分薄れた様子で]
[運ばれたカツレツを食べつつ、観光客な人々が慌しく席を立つ。
……多分、後少し出祭りが開始する時間なのだろう。
窓から見える人々も、広場の方へ流れていく]
[にこにこと見つめていた少女の柘榴石の瞳が、パチパチと瞬く]
ヴィント!元気だった?
[嬉しそうに手を振って、最初に声をかけたのは、ネズミにだった]
[夜の闇をものともせず、屋台は明るくきらびやか]
[普段は静かな村だからこそ、一年に一度のこの雰囲気も嫌いではなかった]
もうすぐか。
[これではもう始まっているようなものだけど、と笑みを零し――]
[ふと、目の前の姿に足を止めた]
[祭り、本番。
本番。
子供は聞くと、こくこくうなずく。
目はきらきらとして、
とてもうれしそう。]
もうすぐ、もっと賑やかになります。
僕、うれしいです。
[相棒の声と、ベアトリーチェの挨拶。
それから、相棒を呼ぶ声にふ、とそちらを振り返る]
お、よぉ、ミリィ。祭り見に出てきたのか。
[軽い口調で呼びかける。
肩の上の相棒は、呼ばれて嬉しそうにきゅきゅ、と鳴いて手をぱたぱたと]
[…折角、出店が出ているのに…酒場で食事というのも勿体ない気がする。
軽い足取りで辺りを見回し…目に付いた屋台に入る]
…こんばんは。景気は…どうです?
[声をかけられた男が振り向くと、笑みを携え…上々だな、と手早く温めたパンに焼いたソーセージを挟んでいる]
ん…よかった…
ぁ、ケチャップと、マスタード…後、オニオン、入れれる?
[モチロンだ!
大きく頷くと、男は新しく温めたパンにソーセージを挟み…手慣れた様子で炒めた刻み玉葱とケチャップ、マスタードをかけ…]
…ありがとう。
[その包みを受けとると、硬貨を数枚手渡した。
屋台から離れると、ふと、周りの声が大きくなった気がして…]
…もうすぐ…ね。
ありがとユリアンにぃ!よーし、皆でご飯ごっはんー♪
ってことで、ベアちゃんも一緒にご飯食べに行こうっ!
[ユリアンの言葉に気を良くしたのか、
挨拶もそこそこに、発見した少女の巻き込みも決定して。
と、ベアトリーチェの言葉に不意に顔を上げる]
……―――ミリィ?
わ、ミリィだ!久しぶり、元気だった!?
[やっほー!と嬉しそうに手を振って]
村の設定が変更されました。
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