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集会場は不信と不安がない交ぜになった奇妙な空気に満たされていた。
人狼なんて本当にいるのだろうか。
もしいるとすれば、あの旅のよそ者か。まさか、以前からの住人であるあいつが……
どうやらこの中には、村人が1人、占い師が1人、霊能者が1人、守護者が1人、妖魔が1人、囁き狂人が1人、共鳴者が2人、呪狼が1人、智狼が1人含まれているようだ。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
自警団長 アーヴァインが「時間を進める」を選択しました
[ごとごとと重い車の音をさせながら引かれていくライオンの檻の屋根の上で、猛獣使いが、派手な音と共に鞭を揮う。ライオンは眠っているのか、鞭に怯えもせず暗がりにうずくまったままだ。]
[軽やかに跳ね回りながら、軽業師達が、見物人に招待券や風船、綺麗な紙に包まれたキャンディを配って歩く。招待券と共に、手を引かれて列に引き込まれることもあったが、嫌がる者は稀だった。]
[旋律が風に乗って、静寂を覆い隠してく。
楽しげに、楽しげに。
遠く遠く、
見つめる紅の睛は、
緩く緩く、
瞬きして色を映す。
軽やかに、軽やかに。
取り取りの色が舞って、町中に広がってく。]
[やがて華やかなパレードの最後尾に、ふいにそれまでとは違った色が現れる。それは四頭の黒い馬に引かれた漆黒の馬車。御者は奇妙な怪物の仮面を被った小さな男で、馬車の窓は黒い天鵞絨のカーテンに塞がれている。]
[馬車がメインストリートにさしかかると、ふいに、竜巻のような一陣の風が天鵞絨のカーテンを巻き上げ、ぼふん、という音と共に、窓から吹き出た白い煙が辺りを包んだ。]
[そして、煙が流れ去り、再び視界を取り戻した人々が目にしたのは、四頭の白馬と、それを操る、すらりとした長身の仮面の男。そして真白に塗りたてられた荷馬車の上を埋め尽くす白い花の山だった。]
[馬車は白い花を撒きながら、しずしずと進んでいく]
[花を手にした者があったなら、それがとても精密に創られた、紙の造花であることが判るだろう]
< あの音色は何処へ行ってしまったんだろう?
闇の中から生まれ出でたような、物悲しく、それでいて、遠く遥かに誘うかのような、蒸気オルガンの声は、賑やかなパレードからは聞こえない。
もっとも、もし聞こえて来たとしたら、みんな恐れ慄いて逃げてしまうだろうけれど。だって、この雰囲気に、あの音色は似つかしくない。
ということは、やはりあれはわたしの幻聴だったか、サーカスとは全く関係のないものなのだろうか。
――そう思うには違和感があるのだけれど、それはわたしの心の問題だから、他人には説明のしようもない。>
……アリス?
[ぽつり、傍らのテディベアへと
鈴を転がすような声が投げられて。
けれど、作り物の熊は何も答えず、
少女は首を傾げて巻き髪を揺らす。]
開演、今日だったんですね。楽しそうだ。
ええ、アーヴァインさんは例によって――渋い顔をされてましたが。
今日も見張るとかで。
あ、これ貰っても良いですか?
…あ。
[洗剤と、食料。あとは生活備品諸々の入った紙袋を抱えて、
今日こそは持ち出したメモと、内容を照らし合わせる。
──大丈夫、買い足りないものは無さそうだ。
ほっと息を零して、横道を抜けた先。
大通りを練り歩く鮮やかなパレードが目に入った。
あぁ、先ほどから鳴り響いていた賑やかな音は、これだったのかと
ぼんやり納得しながら、パレードに巻き込まれないように
そぅと道の端に避ける。]
……今日から、だったんだ。
< 誰かの声が聞こえたような気がして、ついつい彼を見てしまったのだけれど、よくよく考えれば――考えなくても、アリスが喋るはずなんて、ないのだ。
でも、その声は確かに、すぐそばから聞こえて来た、……ように思えた。
また、幻聴だろうか?>
…。
コンタクトケースの蓋が開かない…!(ぐぎぎ)
(何やってんの?)
コンタクトのまま箱見てると目が痛いよう。
メガネに変えたいよう…!
さあ、どうぞ、キャンディはどうですか?招待券もまだまだありますよ。
[いつの間に紛れていたのか、パレードの道すがら町の人々にキャンディや招待券を配って歩いている]
[聞こえてきた、賑やかな音。
本の整理を一段落させ、雇い主である店主の方を振り返る]
……臨時休業にでも、しますか?
これじゃ客、来そうにないでしょ。
[冗談めかした問いに、店主は仕方ないな、と頷くが。
本心では、賑やかさに心惹かれているのは一目瞭然。
……結局、書店は早々に店じまいを済ませ、彼は、猫と共に、通りへ出る]
さて……行ってみるのも、わるかない、かな?
――え?
いや、如何したんですか。変な顔して。
そんな、酷いなぁ。
僕だって本しか楽しみがないわけじゃないんですから。
良いじゃないですか、サーカス見に行ったって。
兎も角、貰いますね。
ご飯御馳走様でした。
[茶色の熊を抱き寄せて毛並みを撫ぜる。
黒いタキシードの汚れはすっかり払われて、
まるで彼女をエスコートする紳士のよう。]
なんだろうね。
[赤の眼差しはまた外へと向けられる。]
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