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― 自宅ベランダ ―
[ ケイジが飛び立つのを見送った後、自分も羽根を広げる。]
結界樹でも…見に行きましょうか。
[ 逆に部屋から出れば疑われるだろうか。
けれど、自分の行動を気にする人間もいないだろう。
羽根を動かし、空へ飛び立つ。]
運命?
[はたりと瞬く。
流れぬ涙の代わり、落ちる雫]
ん――……
[差し出しされた布と相手を見比べるも、
ゆるりと首を振り、己の服の袖で顔を拭った]
……、……封印。
されたの、知っている?
[地面に赤くなった頬を擦りながら、汗を落としつつカレンを見て]
…痛いといえば、頬が痛い。
これは、痛くないけど…苦しい。
[言いつつ、ジョエルの言葉に驚いた顔を向ける。]
…男を?
それは、なんで、…
[言いかけて言葉をとめ]
…巫女さんに近づく男、か?
……ふぅん?
[オーフェンを育てた老婆の事情は知らぬから、首を傾げつつ]
……ま、知り合いだったら、その時はその時さね。
[息を吐く様子に、苦笑しつつ、ゆっくりと立ち上がる]
いや、いいさ。アンタと話したいって思ってたし。
……その様子だと、大丈夫そうだしね。
そうだ。ラウル、アンタはこの子と一緒にお行き。
どうにもすぐにふらつくようだし……危なっかしくて、ほっとけやしない。
[何でもない事のようにさらりと言えば、ラウルはぴぃぱた、羽ばたいて]
んじゃ、ひとっ走り行って来るから、口止めはよろしくね?
アンタも、無理はするんじゃないよ!
変わらないと何故決めつける?
ラス。
どうして、一人で耐えなきゃならないと、そう思い込む?
お前が闇に染まっても、恐れもしない者がここにも居るのに。
くの一 アヤメは、孤児 オーフェン を能力(守る)の対象に選びました。
御令嬢 ロザリーは、学生 エリカ を能力(襲う)の対象に選びました。
[自分の闇を告白したジョエルの言葉に、カレンの非難がましい視線をすっぱりと忘れて、そっとラスの耳元に口を近づけた]
――知ってる? 昔の自分見ているようで、私はオーフェンがだいっきらいだって。
[他のメンバーに聞こえたかどうかはわからない]
御令嬢 ロザリーは、猟師 スティーヴ を能力(襲う)の対象に選びました。
[ハンカチを断られ、肩を竦める。残念めいた顔。
本題のすぐ近くの話題に、少し考えて]
…それは、昨日の?
あんまり…詳しくは知らないかな。
カレンちゃんと……ラスだった事は、知ってるけど。
[名を呼ぶ前に、微かな躊躇い]
…その事で、エリカちゃんに会いに来たんだ。
…ジョエルは、巫女さんが好きなのか?
[ふと、今まで気になっていたけれども聞けなかった事を勢いに任せて聞いてみた。
続く言葉には、眉を顰めて]
…耐えなきゃ、って思ってるわけじゃない。
あんたやアヤメじゃあるまいし。
………だって実際、変わらない、じゃないか。
[リディアに囁かれた言葉には。
細い目を見開いて、見返した。]
…キライな奴なんて誰にだっているだろ。
[言って、這うようにしている体を捻って頭を撫でようと手を伸ばした。]
……そう。
封じられたのは、堕天尸。
また、気づけなかった。
[ぽつり、
零す声にも感情の色は見えず。
ただ、眼が揺らめいた]
そのこと?
あれは…アヤメ。それに…ああ、あの子供か。
[遠目見つけた姿に、昨夜から一緒だったのかと合点する。
そのまま空を滑り近づこうとして、視界の端を掠めた淡い金色に反射的に振り返った。]
…………ロザリンドか。
[昨夜封印した人物ではない事に、安堵と落胆の混じる感情を抱えつつ、空に留まりその姿を見た。]
うん。大丈夫……
[むっとしたように口を尖らせて、天を指さして]
危なっかしいのは、アヤメさん……だよ?
……さっき、落ちてきた、のに……
[ぴぃぱたと羽ばたくラウルに、ね?と同意を求めて]
うん、内緒
……アヤメさん、も、無理しないで、ね。
[口の前に指を一本立て。ラウルへの言葉に違和感を覚え、駆け出すアヤメの背中に向けて]
ごめん、なさい……
[なかなか告げられなかったその言葉は、果たして耳に届いたか]
お前、それを俺にここで言わすか?
[呆れたように、ラスを見る]
というか、お前、それを聞くということは今まで気付いてなかったわけか。
俺はてっきり、お前とアヤメには、とおに知れてると思っていたが。
ああ、それとだな。
なんでお前、自分が嫁を貰うという可能性をざっくり切り捨ててるんだ?
…人の色恋なんて気づくかよ。
[苦々しくジョエルに笑いつつ]
…嫁?
何言ってんだ、貰えるわけないだろ。
[言葉には、細い目を糸にして言う。]
孤児 オーフェンは、かぶき者 ケイジ を投票先に選びました。
[白い花咲くその場所は、僅か五歳の娘に手を化して埋葬した永遠の眠りの地。
無事であることさえわかれば、無理にその顔を見る必要もなく。
その後、本人から全力で逃げられている事など知らぬが吉。]
[カレンが治療をしてくれる時には体を起こして再びあぐらを掻く。
ありがと、と口の中でお礼を言いながら]
…俺、優しくないぞ。
ないし…目が細いのは、関係ない。生まれつきだ。
[同じ形をした父親の目を思い出しながら憮然とした表情で言った]
孤児 オーフェンは、かぶき者 ケイジ を能力(占う)の対象に選びました。
孤児 オーフェンは、傭兵 カルロス を能力(占う)の対象に選びました。
結界樹…ですか…。
[ やはり、考えることは好きなようで。]
……少しでも汚せるよう、根元に虚を埋めてみるのも。
それは、それで愉しいかもしれませんね。
――――――…。
ケイジ様がご存知だとは。
悪い方向に働かなければいいですが。
[ 視界には結界樹が。]
結局は闇なんてそんなもんでしょ? 多かれ少なかれ強かれ弱かれもってて当たり前。みんな普通でみんな堕天尸みたいなもんじゃない!
絶対気にしすぎだってば!
カレリンだって、普段はああ見えるけど、怒ったらそれはもう……
[と、ラスに力説しつつ、カレンを怒らせた時を思い出して、身震いした]
あ、ちなみに、ジョエルんのはある意味シスコンだよね〜!
[と、清々しく笑った]
…そおね。ラスは、堕天尸だった。
[鈍い痛みと共に、浮かべるのは苦笑]
……また、って事は、前にも気付けなかったことがあったんだ?
[その口ぶりを気に止めて、顔を覗きこむ。
感情の無さ、けれど、揺らめくものが其処にはあって]
うん、その事。まだ、この島には堕天尸がいて。
それだから、エリカちゃんに、俺の味方になって欲しくて。
[駆けながら、肩越しにちらりと振り返る。
指一本立てる仕種に、くすりと笑みが零れた。
それから]
……エリィといい、オーフェンといい……。
なぁんで、揃いも揃ってアタシに謝るかなぁ……。
[微か、捉えた言葉に。困った子たちだ、と呟いて]
そんな言葉、いらないよ。
謝るなら……笑って。前、見て。
[紡がれるのは、願い]
………いや。
[一度横に首を振り、紫紺を広げ近づいてゆく。]
………………よく見るなと思ってな。
[それがいつからかを思い、目を眇め淡い金色の翼を見る。]
[ラスの答えにしみじみ頷いた]
成る程な、自分のにも気付かない筈だ。
[貰えるはずないという言葉には、息をつく]
だから、お前……いや、まあいい。
今すぐ変われとは言わないさ。
[カレンに非難がましく見られても、何を責められているのか分からなかったので首を傾けた。
背中で、縛った髪が揺れる。]
……鷹の目殿ですか…。
[ 暫く考えた後。]
嗚呼、彼を消すのもまた面白いかもしれませんね。
[ 最近の様子を見ていると、長老には信頼されていそうだ。
と、するならば。
彼が長老に封印される可能性は低いだろう。]
……ここでやるのは目立ちますね。
[ 羽根の金色が暗く明滅する。]
[小さな頷きは、肯定の意。
前に向いた眼差しは過去を見つめる]
……どういう、こと?
[まだいるという事実を彼が知っていることと、
その後のまるで繋がらない台詞に、眉を寄せた]
[走り去るアヤメを見送った後、くるる、と鳴く声に]
……ラウル、どうしたの?
アヤメさん、心配?
うん、大丈夫、だよね。強い、から……
[嫌な予感を振り払うように、ラウルの嘴をちょんとつつき、微笑む]
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