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[今度は固まった様子に、きょとり、と瞬き一つ。
自分に対する周囲の評価には基本的に無頓着な質故に、少女の驚愕の意味などはわからずに]
うん、絵師ですが。
大丈夫かーい?
[見開かれた瞳を緑の瞳で見返しつつ、も一度問いを投げかけて]
[今のオトフリートを眼前にすれば選択肢は一択しかなく]
ハイ。ワカリマシタ
[ぶんぶん顔を縦に振って頷くまですれば、緊張がやっと解けて]
ぁ、そういやミハエルの兄さん。さっきオトフリート先生がミハエル呼んでたけど、何かあったんだっけ?
[ミハエルが助けようとしてくれるのはわかったため、それに感謝しつつ話題を変えようと試みる]
は、はい。
釘は刺しました、けど。
[自分に声が掛かれば、気を取り直して答える。
実際ちゃんと休んでいる、と言い切れないのはこれまでの素行故]
…妄想、ですか。
[その言葉を聞いて呟き、後ろを振り返った。
ミリィも子供もとうに姿は見えないが]
[少女の心の中でどれほど言葉がまわったかは定かではない。
はっとして、慌てて自分の顔をぺたぺたと触る。
せめて顔の跡だけはないようにと願うが、あんなぶつかり方をしたのだ。無理がある。]
だ、だ、だいじょうぶです
[自分の状況を察知して、少女はしゅーんと沈んだのだった。
髪とかもきっとぼさぼさだ。]
/*
エーリッヒはちょっと遠慮気味に接しつつ、ベアトリーチェとどう接するか考えてない。
リディはユリアンたちと同じノリでいいかなぁ…
[ふふふふ、と笑い、
口の中で小さく歌を紡ぎだしながら数歩、
後ろへと下がる。]
おばけでも、ないの。
[小さく言って首を傾け
ふたりから体を離した。]
……大丈夫ならいいんだけどなぁ。
[我に返ったと思ったら沈んだ様子に、本当に大丈夫なのか、と思いつつ]
にしても、そんなに慌てて何処に行こうとしてたの。
……そんなの抱えて。
[問いと共に視線を向けたのは、少女が抱えていた糸と布]
― 図書館前 ―
[ぶんぶんと頷くアーベルと、自信なさげな答えを返すミハエルの両方に軽くため息]
まったく、どいつもこいつも…
大体、俺はともかく、薬師殿が聞いたら悶絶するぞ。
[薬師がそのテの話に免疫ゼロなのは、長い付き合いで、なんとなく察していた]
そんな噂を鵜呑みにして、苦い薬を口に突っ込まれても知らんからな。
[後ろに下がるエルザの様子に、視線を糸と布からそちらへずらし]
……と、そういや、そっちは平気?
どっかぶつけてたりしたら、ちゃんと診てもらわないと、ダメだよぉ?
[例によって突っ込み満載な事を言いつつ。
おばけでもない、との言葉にはうんうん、と頷いた]
はっ、
こ、これはですね。
ユリアンの気球の材料になればと思いまして!
[どっかのえらいひとみたいな口調になった]
え、えええと。
ほんのちょっとの手助け、です。
[目は普通より細かいし、使えるかもと思ったのだった。]
え、絵師様、だいじょうぶでしたか?
手をいためたりしていませんか!?
[ようやくそのことに気付いたら、焦った声になった。]
― 診療所 ――
全く、全く全く全く全く……
色恋沙汰に現を抜かすなど馬鹿げているぞ……
[ぶつぶつと呟きながら、円を描いてうろつく。
左手に鉢を持ち、右手で実を叩いているのは
調合のためというより気を落ち着けるためらしい。
ブリジットはそんな薬師を見て、不思議そうにしていたが、
患者が来れば落ち着くだろうと気に留めていないようだった。
そして、その想像に間違いはない。仮にも医療に携わるものだ。
――もっとも、その人間が噂話の事を口にすれば、
脅しをかけることすら出来ず、慌てふためくの*だろうが*]
―自宅―
… … …。
おばあちゃんの腰のお薬、そろそろきれちゃのだ…
もらいに行かなきゃ、ね…。
[祖母の寝顔を眺めていた。
先ほどは逃げてきてしまったけど、薬師の下へ赴かねばならない。
足腰の弱った祖母に遠出はさせらない、だから己が]
薬師さま、
そろそろ図書館を出たかころ、かな…。
[ちらっと司書の顔も脳裏に浮かべつつ、家を出た]
そだったのか。そりゃまた…ミハエルの兄さんだから疲労で動きが鈍ってたんかなぁ
[ミハエルの言葉に。絵師のことは姿は見たことあるとはいえ、知ってるのはあまり多くないためそんな想像しつつ]
え。ミリィ先生。そういう話苦手だったんすか。
[少し意外そうに聞きながらも、とはいえ噂はすぐ治まるものなのかどうかとか。少し思ったが自分ごとではないから、まあいいか。で済ます]
…先程、勢いよく走って行かれましたが。
ミルドレッドさん。
どうも、同じ話を子供から聞いたみたいで。
[悶絶という言葉に、当事者のいない道をもう一度振り返ってみた]
どうせなら兄さんの口に突っ込んで頂きたいですね。是非とも。
[さり気にこんなことも言った]
― 図書館前 ―
アレは馬鹿だからな。
[アレ=絵師と即座に気づけるものは何人いるか]
・・・苦手以前に、仮にも独身女性にそんな根も葉もない噂を立てて、怒られないわけがないだろう。
人の言葉は、時に刃になる。覚えておけ。
[アーベルに対しての言葉は、思わず先生口調だった]
……ユリアンの?
[返された言葉に、ほんの一瞬、緑の瞳に険しさが宿り、消える。
自身が『絵師』となってからしばらくして、アトリエを訪れるようになった少年。
その経緯や弟と親しい事、その夢の事もあり、特に気にはかけているのだが]
……知らぬ事象に挑むは良き事。
でも、程ほどに、な。
[静かに言う刹那、軽さは薄れるものの]
ああ、手ぇは、全然大丈夫。
[焦りを帯びて投げかけられた問いに答える頃には、例によってへらり、と軽薄な表情をまとっていた]
えーと、怪我とかは私もユリアンもしないからだいじょーぶです。
絵師様がお怪我をされていなくてよかったです!
あ。
ええと、いつ、空を飛べるようになるんですか?
[ついでだからと、尋ねた。]
ユリアンとどっちが早いかなぁ
全くですね。
[アレ=絵師。
即座に結び付いたらしい。
続く言葉は自分に向けられたわけではないが、思わずこくりと頷いていたり]
…みたいです。
子供まで知っていましたから、多分相当広まっているんじゃ。
[遠い目に、後半はひそりと呟く程度だったが]
[アレというのが誰かは気づかない組で。内心誰?とも思いつつ]
ぅ…確かにそうっすね…早とちりはしてなかったですが
[言葉は刃。というのに少し詰まる。決め付けてもなかったが、噂を聞いて興味本位でいる自分を試みて少し反省。]
でも、今回は別ですが、嘘じゃなかったら問題ない気もしますが
[思わず生徒な口調
その辺りは仲がいい両親を見てるせいか認識がずれてるかもしれない]
俺は、いいんよ。
非力でか弱いけど、しぶとさだけは都市一番だから。
[冗談めかした言葉は、僅かに真理をも含む。
もっとも、その意を正確に悟れる者は、そうはいないだろうが]
空は……さて、いつだろか。
少なくとも、まだ、『満ちて』はいないようだけどねぇ。
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