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― → 大通り―
[油断すると落ちてくる髪を横へと流しつつ、練習所へと向かう]
……?
[途中、街に見る花とは異なる香りを、風が運んできた気がした。
とはいえ鼻は然程効くわけではないから、確信は持てないが]
[ハンスとベッティの言葉を聞くと、レナーテは満面の笑みを浮かべながら]
そうかそうか。
ならよかった。
[と本気で安堵した様子で、鹿汁をすすった]
ああ。
アタイの師匠は親父だよ。
お袋を早いうちから亡くしたからさ。二の舞にさせたくないんじゃねえかな。
…はあ。
確かにそう、…です、けど。
[剣士の言葉は正論だ。
正論だとは思うのだが何故だろう、完全に同意はしかねる。
それはきっと、否確実に食事量の所為]
…。
[新たに注文される鹿汁とやら、しかし彼は目を背けて視界に入れるのを拒否した。
既に食欲は青空の彼方にでも飛んで行っている]
木を隠すならもりのなか、ってゆうだろ。
ゆうらしい。
[どうやら、そういう意味も含めて橋渡しになったようだ。
ライヒアルトの言葉に返すは憮然とした声。
それでも鍵開けの腕は確かだから、何かあれば役に立てるだろう。]
…見れる事あったら楽しみにする。
でも――
[ゲルダの言葉に陽気な声を返し。
こほん、と小さく咳払いをしてから]
姿は勿論見られないようにする。
そんで――つかまっても、何も絶対謂わないよ。
[仕事は仕事、と、低く言った]
……レナさんの客引きって結構、博打かも。
[鹿汁をすするレナーテを見ながら、師匠の誘いの言葉には、もう少し考えたいと答えることにした]
そうなんだー、それでお父さん、レナさんを強く育てようって。
愛されてるんだねー。
はは、まあ食事以外でも見て回ればいいさ。
それこそ勉強も兼ねてね。
それじゃ、俺は先に店開いてるから。
レナーテさん、ベッティをよろしくお願いします。
あまり遅くならないうちに一緒に戻ってきてくれるとありがたいな。
[ベッティから荷物を受け取った]
[レナーテに頼んだのは噂を懸念してのこともあったか]
[少し離れた確保してる場所へと向かう]
[レナーテの食事風景から逃げたとは]
[言うかもしれない]
……あっぶな。
[ローザの思惑は、やっぱり気づく由もなく。
無事の受け止め成功に、やれやれ、と息を吐く]
っとに、もう。
そんなにムキになる事じゃねーだろーに。
[声に混じるのは、呆れと安堵が半々、という所。
言葉が途切れるのも、特に気にした風はなく]
ほら、立てっか?
[腕だけで確りと支えつつ、いつもと変わらぬ軽さで問いかける]
ま、早い話が、うだうだ考えてるだけじゃなく、たまには行動してから考えてみろってやつさ。
これは、アタイがうだうだ考えることが出来ないから言ってんだけどな。ははは。
男らしいところ見せれるように頑張ってみなって。
[そう締めくくりながら、昨日アーベルにやったよりも更に少し手加減をしながら、ライヒアルトの肩をバン!と叩いた。
さて、どれくらいの威力になったことやら]
…あ、ああ。
[先程から特に何もしていないのに、行商人の弟子たる少女に向かう微笑みに疲弊が滲んでいる。
理由は言わずもがな]
勿論さ。神父様も褒めていたよ、いい色だって。
またそのうち、店に寄らせていただくよ。
[実際のところ、神父の顔がやや苦笑気味だったことはさておいて]
博打かよ。
こう見えて、結構客引きの評判はいいんだぜ?
[ベッティに笑いながらそう返す。
基本的に一挙一動が目立つ人間なので、目を引きやすくさせるという意味では、確かに客引きには向いていた]
おお。
愛してくれてるんじゃねえかな。たまに間違った方向へ地平線の彼方まで突っ走ることもあるけどな。
わ、あ、えと。
[アーベルに腕を抑えられ、俯いたまま頷いた。
顔に血が昇りっぱなしで少しぼうっとする。]
え…っと
――その、すまん、ぁりがと。
[小さく小さく告げて、俯いたまま上目で見た。
怒ってないようだったから少しほっと息を吐いて
誤魔化すように、アーベルのお腹あたりの服を掴み
空を、見上げた。]
あいつ、かか掠ったりしてねえよな?
[隼を探す。
辺りに濃く漂うローザの持っていた大きな瓶の香水は何の香りかは、少女は知らない。]
……ハルフェ?
何、やってるの。
[隼に、問いかけは届いたか。
視線を水平へと戻しては影と見比べ、位置を探す。
恐らくはその下に、弟がいるであろうと思ったから]
それは良かったです。
ええ。是非またお越し下さい。ちゃんと適正価格でサービスしますから。
[修道士に営業用のスマイルを向けた]
ごめんなさい、師匠。
なるべく早く戻りますからっ!
おう。
任せておけって、師匠さん。
危ないことにはならないように見守っててやるからよ。
よかったら、今度一緒にメシでも食おうぜ。
んじゃ、またな。
[最後に、非常に同意しかねる言葉を吐いて、レナーテがハンスに手を振った]
おお。
なんだあの、「もけけぴろぴろ」ってメニュー。
好奇心をくすぐるじゃねえか。おっちゃん。それくれ。
[そして、すぐに新しいメニューを頼む。
得体の知れないものを見つけても、躊躇無く頼む姿はとても男らしかった]
そうですね。
時にはそれもいいかも知れませ、ッ!?
[漸く少しばかり慣れて来た…というより、達観と言ったほうがいいかも知れない。
ともあれ、油断が生じていた所為かも知れない。
そこにくる肩からの衝撃。
思いっきり膝を突き、そこから手を突く間もなく前に倒れた]
あははー。だって問題は、レナさんに負けないくらいのインパクトのある商品が必要ってことなのよね。
地平線の彼方って……それもまた豪快な愛だわ。レナさんのお父さんって、一度見てみたいな。
[少しだけ珍獣扱い]
[ライヒアルトが倒れる動作に、思わず]
……えー……?
[非常に困った様子で、それを見つめた]
すっげえ手加減してんのになぁ……?
昨日、違う兄さんにやったよりも更に手加減してんのになぁ……?
……ちと、貧弱すぎね?
[少しだけ罪悪感を覚えながら、思ったままの感想を上げた]
[見事にキャッチされたカヤをみて、思わず拍手!]
すごい!
[いくら身長が高いからって簡単に出来ることじゃないだろう。きっとなんらかの体を鍛える仕事をしているのに違いない!そんな勘違いをして]
私も負けないで頑張る!お客様さがす!
またです!またねー!
[唐突にそう言って、籠を背負って人混みに*繰り出した*]
[途中エルザに見とれたりもしたかもしれないが、話しかけたりはしなかった]
[そして数秒後、時は動き出す。
とりあえず手を突いて、上半身だけは起こしたものの]
…あ、ああ。
宜しく、頼むよ。
[顔は地面に向いたままだった為、少女の営業スマイルは残念ながら見逃すこととなった]
ん、まあ、俺もからかって悪かった。
[大丈夫そうだな、と思いつつ呑気に返す。
それから、空を見上げながらの問いに、自分も上へと視線を向けて]
ああ、大丈夫だって。
あいつの方が、お前よりもずっとはしっこいんだから。
むしろ、飛べるやつに突っかかるなって話。
[けらり、と笑う。
先の、自衛団長とのやり取りで生じた鬱々とした気分はだいぶ晴れて。
外見的には、いつもと変わらぬ様子]
[一方、舞い上がった隼は、エルザの声を捉えたか。
一瞬だけ、そちらを見やる素振りをしてから、ふわり、元の場所へと降りてゆく]
[ローザが向こうへと行こうとするのに目を向けて
なんとか笑顔を作り]
うん、またな!
これありがとう!大事に飾る!!
[背中へと、声をかけた。]
アタイがそこまでインパクトあるかどうかは知らんが、そりゃまあ、店のほうでなんとかしてもらうしか。
[自覚あまりありません]
うちの親父かい?
見せれるもんなら見せてもいいけど、ほんっとうに神出鬼没だからな。
長いときで、1年以上顔あわせなかったこともあるぐらいだぞ。
まあ、顔合わせなくても、ちょくちょく仕事の依頼の手紙とかなんなり色々と接触はしてくるんだけどな。
[隼の下りていく位置を見て、足を向けた。
途中で髪を高く括った少女とすれ違う。
強い香りに一度振り返ったが、それだけのこと。
先に確認した場所を見失う前に辿り着く。
案の定、弟の姿が其処にあった]
……不良坊主。
今日は、何したの?
[様子は伺わず、ある程度まで近づいたところで直球の問い]
[返事に間が空いたのは仕方がないことだ。
下を向いたまま、他からは見えないように言葉を紡ぐ]
確かにそういう言葉はあるが。
…そういう意図もあってのことか。
[とは言え、此方での声はすぐに冷静さを取り戻す。
納得したようではあるものの、未だ言葉の端に不信感は纏わせていた]
分かっているならいいさ。
[最後の言葉には短く、そう返す]
凄い、ってほどのもんでもないけど。
[自身の瞬発力のみならず、風の力も借りていたから、と。
それは言わなかったというか、言う暇がなかった、というか。
とにかく、ローザにはその部分は届かなくて]
ん、ああ。
それじゃ、また。
[かけて行く背に、こう声をかけた]
[ベッティとレナーテに手を振って背を向けた]
[ライヒアルトの不幸はその後のことだったか]
[気づくことが出来なかった]
[その場に居ても何が出来るともなかっただろうが]
ああ、ちょっと用事があってね。
[隣の店の売り子に笑いながら店を開く]
[出遅れたからか客足は鈍いがあまり気にした風でもなく]
[駆けて行った香水売りの少女。
彼女と入れ違うよにやって来た姉の、直球の問いに、眉が寄った]
……何、って。
別に、なんもやってないよ、今日は。
[自衛団長に多少噛み付きはしたが。
少なくとも、今の状況に関して、自分が何かした、という認識はなかった]
…むー。
[自分よりはしっこい、と言われれば
眉を中央いへ寄せて隼を見上げる。
ライバル認識したなんて、きっと隼には気づかれないかもしれないが。
アーベルの鬱々とした気分なんて全く知らないから、
けらり、笑って赤みの消えた顔で彼から離れた。]
インパクトはかなりあるんじゃないかしら。うん。
神出鬼没……きっとピンチになったら現れるんだわ。
実は影からずっと娘の成長を見守ってるのかしら?
[周囲を見回した]
それにしてもレナさんって物凄く強いんだ。向かう所敵なしね。
……アタシ、今度ちょっと行ってみたい場所があるんだけど。護衛頼むことってできるのかしら?
取り敢えず「お仲間」の言う事は聞けって言われてるからサ。
「仕事」の事な ら。
[強調した呟き]
言う事聞くし、好きに使ってくれていいぜ。
町の裏通りとかも色々知ってる。
…すまない。
[少女に差し出された手は素直に借りることにした。
周囲の視線を感じつつ、顔を上げると額が擦り剥けていたりした]
…いや。
少し、ぼんやりしていたもので。
[立ち上がりながら、剣士には少しばかり強がって見せたが、説得力はないかも知れない。
貧弱な部類に入るのは否めない]
[そうこうやっている間に]
『へいっ!もけけぴろぴろお待ち!』
[という言葉と共に目の前に現れたのは、おおよそ形容しがたい物体。
食事というよりも、遊星からの物体Xとか、そういう名前のほうがしっくりきそうな感じのものだ。
それをニヤニヤしながら出した店主は、恐らく相手が驚いたり、恐怖したりする姿を楽しんで作っているに違いなかった]
ほう。
これがその「もけけぴろぴろ」か。
[ぱくり。
だが、レナーテは頼んだとき同様、一瞬の躊躇無く口に入れて食べた]
『っっっ!!!!??』
へえ。見た目はこんなんだけど、結構うまいじゃん。面白いもん作ってるな、おっちゃん。
『は……へ……ええ……まあ……ありがとうございます』
なんで、そこでむくれんだ、お前。
[眉を寄せるカヤの様子に、ちょっと呆れたような声を上げ。
離れた事で自由になった腕を差し伸べ、戻って来た隼を止まらせる。
当人というか、当隼は当然の如く、ライバル認識された事には気づいていない]
そう、今日は。
昨日はお楽しみでしたかしら?
[帰って来なかったことを暗に指し、軽く拳を握った手を上げて、小突く仕草]
……全く。物騒なんだから、気をつけなさい。
[溜息混じりに言いつつも、強く咎めることはしない。
振り返ったカヤを見やる。先の騒動は知らず]
こんにちは。
そんなにインパクトあるかなー。
[レナーテがこう言うのは、彼女の親父さんがこれの10倍以上センセーショナルな人物なので、それに比べると大抵のものは普通に見えているというためだった]
んー。
なんとなく、最近は親父が隠れてそういうのをやってることもあるってのも自覚できるようになってきたかな。
だから、尊敬してるんだけどね。
[ベッティの言葉の最後を聞くと]
ん。いいよ。
行く場所とそれに見合う報酬さえもらえれば。
[あっさりした言葉で請け負った]
―広場・露店―
何だよひやかしかい。
ああ、春の乙女のあれか。
[客人ではありえない男が顔を出すのに眉を上げたが]
[懐から財布を取り出し硬貨を渡す]
対象?今年も変えるつもりはないよ。
別にそういう意味で賭けてるわけじゃない。
祭りの祝儀みたいなものだろ。
[ニヤリと笑う男に軽く手を振る]
ほら、商売の邪魔するな。
早く行けって。
[男が去った後も忙しくはない店番を*続けていた*]
そこは心得ている。
[強調された呟きに返す言葉はあっさりとしていた。
長年の付き合いから『きかん坊』と称すだけのことはある]
そうかい、頼りにさせて貰うよ。
機会があれば。
[裏通りについても、この数年で街の住人よりは知識を得ている。
少女が知るのがどれ程かは、彼が知る由もないが]
[アーベルとカヤのあれこれを黙ってみていたが、またねと言って駆けて行くローザに]
うん、頑張ってねー
[そう言って手を振る
入れ違いにやってきたエルザにはにっこりと笑みを向け]
こんにちわ
んー、少なくとも『ここでは』何も悪いことはしてないよ
[言われた言葉に一瞬きょとり、とするものの。
帰らなかった事を指摘されている、と気づくとあ、と短く声を上げ]
お楽しみって言うか、こき使われ、っていうかー……。
[冗談めかして言うのと、小突く仕種はどちらが先か。
避けなかったのか避けそこなったのかは定かではないものの、こつり、といい音が響く]
……ん、わかってるよ、物騒なのは。
爺様にもちょっと聞いたけど、色々あるみたいだし。
[ため息混じりの言葉には、やや小さな声でこう返した]
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