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―東殿―
[顔を出した若焔の声に小さく声を立てて笑い、月闇竜に頷く]
えぇ、そうですね。
そこまでやわでは…雨に弱くは無いつもりですが。
[火炎を司る若焔に失礼にならぬよう言い直して、素直に従って東殿へと入る。そしてバスタオルを持った若焔に目を合わさぬ会釈を向けた]
中:
二人で出るんだΣ
まぁ分かりやすくなるからいいのかな。
剣が剣だから、出ざるを得ないってのはあるんだろうけど。
[ 声は雨音に紛れ、甘い香りは土の匂いに隠れる。
薄布に隔てられたように、周囲の出来事は遠い。
ショールを掻き寄せて腕を組み、右足に体重を傾け壁に身を預けていた。
寒さは感じねど、気怠けさが漂う。雨特有のものか、対の一が欠けし故かは判ぜられぬ。]
[くすくすと軽く笑うのは、隠された言葉を解したためか。]
油断をすると、丈夫でも風邪をひきますよ。
[玄関にはいりゆく姿を見送り、出迎えようとしたけれど。]
……ノーラ殿?
[近しくなった影の名を呼んだ。]
[あのとき。]
[影から行くと言われ、その内容も尤もで、それを願った。]
その時は、お願いします。
[裏の気持ちは、わからないけれど。]
えぇ、力は剣を奪う為に温存しておきます。
[念を押す様子と心の動きに温まる心を寄せて。目標が見えた今、余計な力を割きませんよと約束する]
そうですね、シャワーを浴びて着替えた後に。
[有難くいただきますと微笑む]
…枯渇気味なんだからしゃーないさね。
[バスタオルを心竜に渡しながら。]
メシでも食って補うさぁ。
ともかくあれだ。乾かしてやるとかそう言う余力無いから、着替えてきたら?
―――自室
……は!?
[気づけば二度寝していた。
おかげで、何があったのかをさっぱりと知ることは出来ず。
衣服を着込んでからなんとなく、東殿をうろうろとしてたが、やがて窓から見える雨に、惹かれ、不意に足は中庭へと]
―――自室→中庭
―東殿―
[若焔の言葉に笑みを引いた。微かに名残は漂うけれど、真面目な顔で有難く受け取る]
…なるほど、そうでしたね。失礼しました。
それにバスタオルありがとうございます。
[若焔の羽織る毛布に曇りがちなレンズ越しの紺碧を向けた]
あぁ、それはいいですね。
温かくて美味しいものをたくさん食べて下さい。
私はシャワーを浴びて着替えてきます。
[もう一度ありがとうございますと礼を言い、口元に微笑を浮かべ*シャワーと着替えに行く*]
[暖かな心を感じて、ほほえむ。
そうですねと、目標たる人を思えど、今はその心をおいやって。]
アーベル殿よりも美味しくはいれられないかもしれませんけれど。
飲みたいものがありましたら、おっしゃって下さい。
……。
[何人か集まっているのは意識の中には入らなかった。
ただ、ゆらり歩いて、視線は天へと]
―――主様。
この雨。
楽しんでいらっしゃいますの?
それとも……悲しんでおられます?
私には、貴方の真意は分かりかねます。それほど、貴方は計り知れないお方。
[流れる雨は、ナターリエの体を隅々まで濡らす。
天を仰ぐように、両手を広げ、さらに雨を受け入れる。
心地よいはずの雨が、今はよく分からない]
―――。
[不意に。
雨に混じるように黒い……混沌のカケラが一つ。中庭へと降りてくる。
嗚呼。雨に混じる混沌はなんと醜いのだろう]
―――喰ろうてやろうか。
[元々は竜ではない自分。
水竜王の導きにより、竜になることを許された。
ああ。それは、まるで混沌ではなかろうか。
何も無かった自分に意義を与えたのは何故―――?]
……少し。
珍しかったもので。
そうですね、戻ります。
[ 気配が散っていくのを感じ取りながら、影は眼を伏せる。]
……オト殿は、どちらに。
─東殿・自室─
[結局また、転寝をしていたようで。
どこか気だるげに、目を開く]
……あめ、きらい。
[口をつくのは、幼子のよな物言いの言葉。
理由は知らない──否、覚えてはいない。
ただ、気がつけば雨は厭うものとなっていた]
―東殿個室―
[流れるような水の音が耳に届いた。
ゆっくりと瞼が持ち上がる]
どうして…ああ。
[胸の上から腕を退けて、半身を起こす。
部屋の中も薄暗い。窓の傍に寄って外を見る]
雨が降って来ていたの。
…ハリョン様の影響、なのでしょうね。
[仔竜と触れ合う機会など、これまで全くと言っていいほどなかった。だからどうして良いかも分からずに、殆ど会話もできていなかったけれど]
どうか、無事で。
[その身を案じる心は変わらず。小さく祈った]
―東殿:玄関近く―
[強く弱くなる雨を見ていても、何の解決にもならない。
それでも何か無いかと、玄関の屋根の下から外を眺める。]
[混沌。
混沌のカケラ。
今の自分がそれを体内に受け入れるとどうなるだろうか?
何も変わらないだろうか?
力が強くなるだろうか?
それとも、水に対する焔のように消えてしまうだろうか?
全てはどうでも良いことでもあった。
何が私を動かしているのだろう?]
主様……。
雨を降らせたのは何故?
[答えは返ってはこない]
ええ。
[戻ると聞き、促すようにうなずいた。]
あなたに、暖かい飲み物を届けようと思っていましたけれど。
少しさめてしまいましたから、食堂へ行こうかと思います。
体、冷えたのでしょう?
……一緒に行きませんか?
[それでも、じっとしているのは嫌だったから、起き上がり。
いつものよに常磐緑のマフラーを巻き、銀のロッドを背負い。
頭の上には相棒を乗せて、ふらりと部屋を出る。
どこに行くのか決めてはいなかったが、何となく、歩みは玄関の方へと向いていた]
─自室→玄関─
/*
嗚呼。
テラスって、1Fですよね。
プロローグか何かで使ったときは何かを勘違いしていt
・テラス………1Fの床と同じ高さで屋外に向けて張り出たフロア
・ベランダ……2F以上に屋外に張り出した屋根のある縁
・バルコニー…屋外に張り出した屋根のない手摺付きの台
勘違いにも程が。バルコニーだ。バルコニー。
[傘を借り、ばさと音を立ててさした時、後ろから疾風を感じて振り返る。]
ティル殿。
ゆっくり、休めていますか?
[首を傾げ、声をかけた。]
……あ。
雷撃の。
[感じた気配に首を傾げた直後に声をかけられ。
同時に、自分にはわりと親しい力を感じて、ほっとしたよに息を吐く]
ん、休んじゃいるよー。
ただ、雨だから滅入ってるだけ。
これから、どっか行くの?
―回想/東殿・回廊―
[幼子には結局の所、影の気配の理由は愚か出所すら悟る事は困難であったか。
首を傾いだまでは良かったが諦めざるを得なかった幼子は、素直に差し出された小袋を握り締めると大事そうに抱えこんだ。]
…、ありが、と。
[幼子が地竜殿へと述べるは、余りにも言葉足らずな謝礼であった。
直ぐさまに氷竜殿へとしがみつく様を見ればどうやら照れ隠しの様で在るが、物を頂いたと言うにその態度は誠に失礼窮まりない。
確りと礼を述べよと促せども、子は氷竜殿へとしがみつく力を益々を強めるばかり。
…もはや私はお二方に頭を下げるのみ無かった。]
[暫くの刻が過ぎる内、結局幼子は氷竜殿の腕に抱かれたまま眠りの底へ落ちてしまった様であった。
申し訳無さに小さく縮こまるしか無かった私は、偶然にして幾つかの事を聞き及んでしまう事になった。
口は挟まぬ――下手に言い触らしはせぬ心積もりはあれども、心苦しく思うは否定出来ぬ。
結果、床に着くまで苛まれる事になってしまったのは別の話である。]
―回想終了―
―― 東殿・私室 ――
良く降るなあ…
[開け放った窓の枠に、生身の右腕とメタルの左腕(今は剥き出しのままだ)をだらりとひっかけ、間に顎を乗せて降りしきる雨を見つめる。騎士道精神にも限度があるだろうと思う焔竜の無茶や、守れなかった者達のことを思うのか、その表情にはいつもの精彩は無い]
俺、どうしたらいいんだろ?
[ためいき]
あぁ、雨が降っていると爽やかな風が噴くという訳には行かないですから、ね。
私は雨にそれほど滅入る事も無いのですが。
[少し表情の緩んだように見える疾風竜に、こちらも少しばかり眼鏡の奥に緩めた色を浮かべた。]
いえ、見ていても仕方ないので、歩いてこようかと。
行きますか?
[傘を揺らして見せる。]
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