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[階下へと降りる階段の途中で]
[毛布に包まれた少年の亡骸を抱き抱えた]
[侍女服の女性に行き会う。]
あ。
[と会釈して]
……それは、トビー……?
[問い掛ける]
[少女は『聖書』の中に託された物を丁寧に仕舞い込んで――]
誰から…聞きに行きましょう?
[聖書を小脇に抱えて、長く細い金糸を靡かせ――]
行って来ます、神父様――
[アーヴァインの部屋を後にした]
[暫く少年の顔をじっと見つめていたが、近付いてくる足音に、慌ててテーブルの下に姿を隠した。
息を顰めたまま、緑の髪の少女が、少年に毛布をかけ、運ぶのを見守る。
彼を抱き上げるその仕草はやはり優しく見えて。]
[階段途中で会った男性に、同じように会釈を]
……はい。
ずっと広間に置いておかれるのも、…ですから。
[言いながら、男性が昨日牧師を殴っていたのを思い出す。今の、いつもの姿からはかけ離れた、激昂したような。
そういえば、殴られていた彼は――?]
昨日は……何が如何なったのか全然分からなくて……
トビーを其の儘にしてしまった。
出来るなら、自分が…あの子の部屋に寝かせてやりたい。
良いだろうか?
[彼女が出ていったのを確認し、テーブルの上に残された鍵を握る。
錆の感触が手にざらついた。
そのまま、足音をしのばせて広間の扉から外を窺う。]
[ 変化の無い様子には寧ろ訝りはするものの敢えて其れを問う事も無く、不機嫌そうな表情を返す青年も叉、覚醒めの前とは何も変わらぬ様に見えるか。]
……失礼だな。
[ 然れどだからこそ余計に、此の状況では未だ感じられる不自然さ。]
書生 ハーヴェイは、冒険家 ナサニエル を投票先に選びました。
書生 ハーヴェイが「時間を進める」を選択しました
そう…ですか?
……でしたら、お任せします。
[この間話した時より、口調がしっかりしているような印象を受ける。
違和感を覚えつつも、毛布に包まれた少年をそっと、男性のほうへ差し出して]
[年齢の割には細い彼が軽いのか、それとも仕事柄力があるのか。ネリーの足取りは安定していて。
ゆらゆらと意識が揺らぎながらも、その少し後ろを付いていく。]
「……それは、トビー……?」
[遺体(からだ)の近くにいるからなのか、今度ははっきりと届いた声に、ぱっと顔を上げて。]
だって、さ。
何となく、なら、書庫に行くようなイメージがあるんだもん、ハーヴェイの場合。
[やや、小首を傾げるようにしつつ。さらりと返して]
―階段―
[下へと向かう階段の途中で捜していた男を見つける]
こんばんは。
随分元気そうだね?
[出来るだけ冷静に、声を掛ける
片手で上着の下のナイフを探って]
書生 ハーヴェイが「時間を進める」を取り消しました
投票を委任します。
書生 ハーヴェイは、流れ者 ギルバート に投票を委任しました。
――廊下――
[『聖書』を片手に、少女はくるりと記憶を廻らす]
無くなった武器庫の鍵…。神父様の対象から外れたのは…誰…?
そして――男手の神父様を…あそこまで出来るような人は…?
[ふっと溜め息を吐いて――一度だけ瞳を閉じると…]
あの人は、何という名前だったかしら…?
[くすり――]
[微笑を湛えて――]
[少女は歩みを進めた]
ありがとう……
[そっと差し出された少年の遺骸を]
[壊れ物を扱うように抱き取る]
[痛ましげな目で蒼褪めた顔を見つめ]
……俺が、あの時、
[感極まった様に言葉詰まり]
……ああ。
そう云えば、すっかり忘れてたな。
[ 書庫。何故だか其処に行く事は思いつかなかったと顎の辺りに手を遣りつつ、]
じゃ、清廉なる音色に誘われてとでも?
[軽く笑みを返して然う答える。異質な状況の中の平穏な会話は矢張り違和感か。]
[”あれから”の青年達の遣り取りを、温かな胸で泣き濡れていた彼は、知らずにいたから。
流暢なその言葉を、不思議には思うも。それ以上に、嬉しくて。]
………ありがとう…お兄さん………。
ネリーさんも……ボクを連れて行ってくれようとしたんだね…ありがとう……。
[くしゃりと笑みを浮かべようとしたけれど、それは頬を一粒滑り落ちた雫ゆえに、泣いてるようにも見えたろうか。]
[少年の顔を見つめる瞳に、抱いて来た疑念が少し、揺らぐ。
――獣がこんな表情をするのだろうか?
言葉の続きを黙って聞こうとして]
「……あ、トビー君。」
[後ろから掛けられた声に、一つ瞬いて、振り返る。]
…ローズマリーさん……?
[一瞬、笑みを浮かべるも。
なんだか少し緊張した気配を感じて、不安そうにその名を呼んだ。]
[その男の腕に抱かれた物を見れば一瞬表情が変わり
しかし其れはすぐに消えて]
あんたとそいつは仲が良かったもんな…
悪いな、俺のせいで。
[感情は無く、淡々と]
[わたしは――
あぁ、きっと止められない。
それでも今は、目の前の子のために。
微笑を作る。]
きっと、弔ってくれるのでしょうね。
良かった。
[どうにかしてこの子をここから離そうと思った。]
それはどうも、って答えとくべき?
[返ってきた言葉に、くす、と笑う。
外で貼り詰めて行く緊張に、気づいているのかいないのか。
そこだけは、全てが動き出す前、さながらで]
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