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器?
< 言葉に、アーベルを見ます。
かれは、なんだか、変わったような。
そう思って、猫は、かれのそばに、よろうと思いました。
なんだか、わからなかったから。 >
─影輝界・中枢─
不意に駆け抜けた衝撃は、精霊界の全域を揺らして。
『均衡』を領域と為す界の中枢。
貴紫の六翼広げし影輝の王は、閉ざせし瞳をゆるりと開く。
「……揺らいだ……か」
掠れた呟きが零れ、影輝王は手にした刀を握り直す。
「……外からの干渉は、不可能……出来うる限り、支えはするが……」
できるのは、それだけ、と。
零れるのは苛立ち帯びた、呟きか。
「……頼むぜ……」
機鋼界の内にある者、その姿を思いつつ。
音を立て、六翼を羽ばたかせる。
舞い散る粒子は、影輝の波動。
それは軋み、揺らぐを機鋼の界を支えし力となるべく、精霊界を*渡り行く。*
――『魂』なき、『器』の竜。
それの中には、
元々、何も在りはしないということ。
[なれば、]
[それを動かしていたものは]
[何だったというのか。]
[目線で巨躯を指した後、][近づく流水の獣を一瞥する]
エテルノでも、か。
さっさと出たいところだが、そう簡単にゃ許してくれないか。
[がりがりと頭を掻く]
ああ、そっちはもう回ってきた後か。
二度手間になりそうですまんな。
けど繋がってるってならひとまず安心だ。
そこまで迷う可能性は無いだろう。
[謝罪を入れてからからりと笑って。第一集積所から通路へと移動した。どこへ向かおうなどとは考えず、足の向くままに歩く。部屋の名を示すプレートを眺めながら]
─第一集積所→通路─
……?
じゃあ、どうして、
ここに、おれたちを?
< 手をのばそうかと思って、
猫はそれを、やめました。
少し宙をつかんで、にぎりしめて。 >
アーベルは、
わからないの、わかった……?
─二階・自室/昨夜─
[屋敷に戻り、状況を聞いて。
色々とため息をついたりなんだりしつつ、セレスを連れて自室へと]
……て。
なんですか、コレ?
[それで、差し出された物にちょっときょとりとしていたりとかは、緊張の中でののんびりとした一コマ]
「えとね、おみやげー」
お土産、って。
[差し出されたのは、翠と紫。
果樹園で、ナターリエと共に採って来たのだと聞けば、自然、笑みが零れて]
……そう、か……ん、ありがとな。
[時空竜の目と同じ、と楽しげなセレスの様子に、緊張はやや、解れたか]
まだ、貰っていないものがあるから。
一つ目の目的は達したけれどね。
[宙を彷徨う手][眺める眼差し][冷たい。]
嗚呼。
そう。
解ったから、“僕”が此処に居る。
君達の言う“アーベル”はその為のものだったから。
あのまま自我が育ったら、困った事になったけれどね。
「ね、時空竜」
……ん?
「……大丈夫、だよ、ね?」
……ああ。
[どこか不安げな問いに、一つ、頷く。
翠と紫には、決意の色彩]
壊させやしない。
傷つけさせも。
……そして……俺は、死なない。
[碧を撫でつつ、静かに宣するは、決意の一つ]
もらってない、もの?
……ひとつめの、もくてき?
< 猫は、何がなんだか、わからなくて、じっと、彼を見ました。
つめたい。
心の中まで、凍えてしまうような。
ためらいがちに握られた手を、開いて、その頭の方に、のばしました。 >
…アーベル、じゃないの?
あなたは、誰?
……アーベル、は?
世界には、あらゆる声が満ちているのが常だったからな。
こう、声の聴こえない場所は…或る意味では貴重だよ。
歓迎すべき物では無いがね。
…事が済まなければ。
出る事は――少し、難しいかも知れぬな。
[小さく苦笑を零す。 肩へと止まった鴉を一瞥すれば
相手の後に続くように、一歩踏み出して。]
いや、手間など構わぬよ。興味本位で廻った所だったからな。
此処で迷ってしまっては――
事が終ってからでも、出れぬかも知れぬぞ?
[冗談まじりに、けらりと笑って。
無機質な通路へと足を踏み入れる。ふと、思い出したように]
そういえば、御仁は噂の機竜を見たか?
「それ、当たり前なのー!」
……はは……わかってますよ、と。
でも、このくらいの決意がないと、な?
「きゅ〜……時空竜は、わるいこー」
ん、そうかも……な。
[零れるのは、ただ、苦笑のみ]
君達の、ちから。
[伸ばされた手]
[眉を顰め、]
[躊躇い無く 払った。]
……触らないで呉れる?
“僕”も“彼”も、
アーベルと呼ばれる存在だ。
同じで、違う。
[その後、いくつか言葉を交わして。
……セレスは少し、機嫌を損ねたりもしたようではあったけれど。
それを笑って受け流しつつ、眠りに落ちて──翌日]
―ファクトリーエリア―
< 手を払われて、猫は、驚いて、まっさおな目を向けました。手を、自分の方に、ひきよせます。
だけれど、つづいたことばに >
エテルノと、ノイ、と、おなじ?
< 少し、かんがえながら、口にして >
……アーベルは。
ひとりが、いっぱいで、だけど、ひとり?
ふほんい?
< 何が、不本意なのか。
猫にはまったくわからずに。 >
……アーベル、は?
さっきまでの、アーベル、が、嫌い?
─二階・自室─
[目を覚まし、最初に確かめたのは呪印の具合。
痛みはなく、それなりに安定している様子に、一つ安堵の息を吐く]
……ヴィンター、悪い。少し、頼む。
「……まったく」
[処置なし、と言わんばかりにばさりと羽ばたく白梟に苦笑しつつ、癒しの光を印に受け、痛みを抑える]
さて……んじゃ、どうしたもんかね。
[落ち着いたところでぽつり、零れたのはこんな呟き]
いつも聞こえるものが聞こえない場所、確かに貴重だな。
常に聞こえるものが煩わしいと思うなら、歓迎しそうになるかもしれないが。
俺もここは歓迎出来ん。
[風の声が少ないから。風により情報を得ていた自分としては、手足をもがれたかのようで。気分の良いものではない]
事が済みここから出れるのが先か、界が揺らぐのが先か。
事が済むにしてもその行く先がどうなるのか。
見通しが出来ないな。
あー…出れるようになっても出れなくなるのは、勘弁。
[うへぇ、と嫌そうな表情。きょろきょろと見回しながら問われる言葉には]
ユーディットの鏡でちらっとは。
直接は見に行って無いな。
[鏡で見た機鋼竜の姿を思い出す。訊ねたいことはあるのだが、果たしてあれは答えてくれるのか]
[しばらく行った先で、足がぴたりと止まる。とある部屋の前。何かを感じるのか、その扉の奥をじっと見るように]
/*
何このアベぽん。
めっちゃ個人的にツボクリティカル…!!(ごろり)
可愛い!ヒネてて、でもかわいい…!
頭撫でくりしてやりたい…!(犯罪者が此処にいます)
……嗚呼。
精神の竜か。
あれには、礼を言わないとね。
おかげで、思い出せた/解った。
けれど、あれとは、また違うよ。
君に理解出来るように説明するのは時間の浪費だ。
故意であれ無自覚であれ、
己を消そうとした存在を好きになれるものか。
“彼”こそ、僕にとっては理解出来ない事だらけだ。
…たしかに、おれは、くわしくないけど。
< 今までのアーベルでは、言わなかったことでしょう。
そう思って、猫は、あおい目で、ただ、彼をみました。 >
アーベルは、
いまから、
……なに、したい、の?
世界に生きる物が居て。
世界が生きる物で構成されている以上、
…あらゆる「声」は満ちて”当たり前”だからな。
声が聞こえぬ事に――…我が幼き仔は、喜ぶかもしれぬが。
[小さく喉を鳴らして。何て事の無い様に、さらりと言葉を紡ぐ。]
界が揺らぐ前に――上の者が、何らかしてくれるとは思いたいが。
…それまで、我らが無事で居る事が何より先決だな。
精々、頑張って迷わぬようにせねば。
[嫌そうな顔に、けらりと喉を鳴らす。
一周は廻ってきたのだから、恐らく迷うことは無さそうだが
まぁ…万が一逸れた場合は、如何するか。ちらりと考えて。
ふと、立ち止まる相手にゆるりと視線を向ける。
不思議そうに蒼を瞬いて]
…如何した。
[不意に、セレスがぴくり、と身を震わせる。
同時に感じる、気配]
……おやま。
堂々と、いらっしゃった事で。
[くすり、と笑みつつ立ち上がる。左肩に舞い降りる白梟と、右肩に飛び乗る碧の獣]
……んじゃ、行きますか。
[口調は軽く。どこかに散歩にでも向かうような、そんな感じで]
─…→広間─
設定は失敗か。
もう少し時間があれば何とかできたかもしれませんが。
やはりぶっつけでは難しいですね。
[鏡をのぞきこんで窓にうつる影を確認し]
そろそろ終幕?
居合わせられないのが少し残念ですが。
彼の望む結末はどんなものなのでしょうね。
―自室―
[寝台の上に仰向けに転がり、閉じていた目をぱちりと見開いた]
………
[寝台を降り、廊下に出ると、天聖の麒麟の部屋の前へ]
気をつけてください。
[ドア越しに声をかける]
[逃げろとは言わなかった。多分、それは意味がない]
……、
[ゆるり、][振り向く]
[異なる青の双眸が、黒を見据えた]
やあ。
[返すのは淡々としたものではなく]
[静かながら感情の篭められた声]
……久方振りというべきかな。
「虚のいとし子」。
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