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─ 黒珊瑚亭→浜 ─
[自衛団長からの呼び止め>>158には、わかったと返して黒珊瑚亭を後にする。
いったい何の話をするのか濁されたままなのは正直すっきりしないが、今優先すべきは海の状態と船の安否の確認と自分に言い聞かせ浜へと駆けるも]
…爺様にも、もやっとすっけど。
なーんでよりによって、浜で死んでたんかねぇ。
[嵐に巻き込まれた訳ではないにしろ、浜で死体が見つかったというのが、足取りを重くさせる。
父の漁師仲間であり、もう一人の父みたいに慕っていた人の亡骸を見てしまった時>>84の気持ちが、蘇るから]
…せめて、カルやおばさんの耳に入ってなきゃいーけど。
[彼の家族───特に彼の妻だった人は悲しみを色濃く引き摺っているように見えるから。
今回の件も過去と重ねてしまわないと良いと思い願う。
大して広くない島で噂が回るのも早いことを思うと、無理な話だとも分かってはいるのだが]
─ 浜・漁師小屋 ─
[考え事をしながら駆けていた為、途中誰かのそばを通ってもこちらから気づくことは無く。
呼び止められれば足を止めはしても、急いでいるからと長居することはなかった。
足取りは多少重くとも、大の男が駆けていけば程無く目的の場所にはついた、けれど]
うっわ…
[想定以上の惨状に、言葉を失った]
─ 浜・漁師小屋 ─
…あー…ひっどいな、これ。
[不幸中の幸いというか、自分の家が所有する船は無事だった。
が、他の家の船─小屋に入らない大きさのものは軒並み酷く破損していて。
海面には木屑や船に乗っていたのだろう小物やら何やらが散乱して、魚の姿どころか海底の珊瑚も見えぬ程濁りきった水の色]
……こりゃしばらく漁は無理、だな。
[昨日一人で船を引き上げていた最中は両親の不在を呪ったりもしたが、現状は両親不在でよかった、と心から思う。
こんな状態見たら発狂しかねない。]
─ 浜・漁師小屋 ─
ん?
あ、おっさん達。
ひっどい目に遭ったね、片付け手伝…へ?
[眉を顰め、海を見ている所で呼ばれた声に振り返ると、険しい顔の漁師仲間がいた。
彼らの方が余程被害が大きいだろうと手伝いを申し出ようとしたのだが、「昨日は何ですぐ来なかった」という問いにそれを遮られ。
質問の意図がわからず、きょとんとしてしまった]
や、うん、ごめん。
ちょっと他事してたもんで出遅れた。
[また跡取りとしての意識が低いというお叱りかと思い、素直に謝りはしたのだが。
漁師仲間は互いに顔を見合わせ、微妙な空気を漂わせながら離れていってしまった]
─ 浜・漁師小屋 ─
…何、今の。
[呼び止めようにも、何処か異様な雰囲気に声をかけることもできず。
怪訝に見送った後、落とした呟きを拾う者は居たかどうか。
漁師仲間の様子は気にかかったが、自衛団長の指示を考えれば後でまた聞いてみるか、と髪をかきあげ。
漁師小屋の中と外をざっと見ても、急ぎ片付ける必要は無さそうだったので]
…一旦戻るか。
あんまり爺様待たせてもアレだしな。
[黒珊瑚亭に戻る為、踵を返す。
誰かの姿が見えれば自衛団長から話を聞くように言われていることを告げ。
それがカヤならば、加えて罠の仕掛けを教えるのは時間ができてからな、と話した]
― 浜 ―
はい、すいませ……
いえ、ありがとうございます。
[12年前。突然の出島の後、
家族は、島の人間とは一切の連絡を絶ち、
自分も、接触を禁じられていたから]
[薄情だと思われていはしないかと、内心で案じていたけれど。
ゼルギウスに、謝ることではない>>137、と言って貰えれば、
心の何処かが少し軽くなる心地がした]
え? 背丈、ですか。
どうでしょう…。
[島を離れる前は、まだ大人に頭を撫でられる程度の高さだった
けれど、今はどちらが高いだろう。
気にもしなかったことに、少し戸惑った様子で首を傾げ。
ゼルギウスが治療を開始すれば、静かに見守った]
― 浜 ―
はい、今度は食事でもしながら、ゆっくり。
お会いできて嬉しかったです。
ありがとうござました。
[治療を終え、老人を家まで送るというゼルギウス>>138に、
慌てて自分が送ろうと、申し出たけれど。
補充したいものがあるとの言葉に頷き。
謝罪には、それこそ謝ることではないと、首を横に振った]
……あ。
僕の方が、少しだけ高かった、かな…。
[老人に、怪我と船の労いと、
早く治るようにと祈り混じりの言葉を掛けて。
二人の背が遠ざかるのを見送りながら、
ふと、立ち上がった際のゼルギウスの視線の位置が
やや低めだった気がしたのを思い出す。
父も兄も大柄だったから、自分もどちらかと言えば高い方だが。
何処となく残念なような、奇妙な気持ちで二人を見送る]
― 浜 ―
……姉さんのことは、聞かれなかったな…。
[ぽつり、呟き声が漏れる。
遠くなりゆくゼルギウスの背を見つめる瞳が、
何かを探る様に、鋭く細められ]
姉さんが、家族の秘密を伝えてしまった相手は、
誰だったんだろう…。
[姉は、最期まで相手の名を漏らさなかったから。
12年前、姉が信頼していそうだった相手の顔が、
いくつか脳裏を過る]
[まだ代わっていなければ、信仰していた教会の牧師、
病弱だった姉が薬を頼んでいた、ゼルギウス、
それから、比較的年齢の近かった、あるいは親しかった人達……]
― 浜 ―
……でも。
僕は、帰ってこない方がよかったのかな。
[先ほど、運ばれた遺体のあった辺りを、ちらと見遣り、呟く。
最期まで、姉が帰りたいと願っていた島。
この島で過ごした半生の思い出は、幸せなものばかりで。
記憶の中で美化されていたのだろう、
地上の楽園のように思っていたけれど]
馬鹿だな…地上に楽園なんてあるはずがなかった。
[無意識にポケットに伸びた指が、紅珊瑚の指輪を探り。
常の癖で、それをぽんと放っては受け、放っては受けを
繰り返しながら、黒珊瑚亭に向かって歩き出した。
辿り着けば、自衛団による召集が待っているとは、*知らぬまま*]
……前から思ってたけどぉ……あなた、隠し事、下手よねぇ。
[くすり、と笑んで擦り寄るように距離を詰める。
下から見上げる瞳と声は、淡く甘い艶を帯びて]
お勤めなのはわかるから、何から何まで全部教えて、とは言わないけど。
……どうして、そんな事になったのか、くらいは知りたいなぁ?
ねぇ、何があったの? それだけ、教えて?
[呼び出しそのものに逆らう心算はないが、何故こんな時に、というのは気にかかる。
言葉の裏側にあるものを探してしまうのは、島を離れた6年の歳月で身についてしまった癖のひとつ。
ただ、清らに絵を描いて過ごしていたわけではない、と暗に物語るものだが──目の前の彼には、それは知れぬもの。
帰郷してからというもの何かとこちらの気を引こうとしていた団員は、一見すると無垢な『お願い』にしばし煩悶とした様だったが、最終的には浜に上がった遺体の事と、その死因に関する招集である事は教えてくれた]
……それ、さっき浜で騒ぎになってたひとよねぇ?
[得られた答えに眉が寄る。
ほんの無僅かな思案の素振りの後、爪先立ちになり]
教えてくれてありがと。
……ねぇ、ひとつ、お願いしていい?
『浜に死体が上がった』って部分は、母さんに伝わらないようにしてほしいの。
それ教えたら、ぼく、母さんの傍離れられなくなっちゃうから……あなたのお勤め、果たせなくしちゃう。
[団員にだけ届くよう、耳元に囁きかける。
閉ざされた島の中の事、いずれ人伝に伝わる可能性があるが、できるならばそこは伏せておきたかった]
ね、お願い……落ち着いたら、お礼するからぁ。
[踵を下し、上目遣いに訴えかける。
こちらの家庭事情を慮ってか、それとも『お礼』につられたか。
どちらかはわからないが、諾を返してくれた団員に嬉しげな笑みを浮かべ]
……ありがと。
[軽く、掠めるように頬に唇寄せた後、何事もなかったかのように家へと入る。
白猫が、あーあ、とでも言わんばかりに気だるげに鳴いたのは、多分、誰の耳にも入ってはいない]
[家に入ると、出迎えるのは落ち着きない母の声]
ん、あちこち色々大変になってるみたい。
しばらくは、落ち着かないかなぁ。
[外の様子を問う声に、返すのはそんな曖昧な返事。
海の仔細を伝えるのを避けるのは、母の精神の安定のため]
それでね、なんだかギュンターのお爺ちゃんがお話あるから来てくれ、って言われたの。
だから、黒珊瑚亭行って来るね?
お話、長引くようならご飯食べてくるから、母さんは先に休んでね?
[出来る限りなんでもない風を装い告げる。
それでも、返るのは案ずるような声]
んー、何の話かはわかんないけど。
……大丈夫だから。
─ →黒珊瑚亭 ─
[それからしばらく時間をかけて母を落ち着かせ、やって来た黒珊瑚亭。
集まる顔ぶれに、どういう基準? と首傾げつつ。
やがて、現れた自衛団長から話を聞かされて]
……なぁに、それ。
[最初に上がったのは、短い声。
戸惑いを強く滲ませるその声に、足元で大人しくしていた白猫が、案ずるように鳴いて膝の上に跳び上がってきた]
御伽噺じゃない、って。
死んでもらうって、そんなのって。
[半ば呆然と呟いていると、幾度目か、視界に霞がかり。
それ以上は言葉を紡げず、白猫をぎゅう、と抱えて目を伏せた。*]
/*
さてとぉ。
エリさんはなんかあるっぽいわねぇ。
ベルくんは大分あっさり受け入れてるけど、ここも何かある?
霊能の時のぼくが1dから示唆をばらまくのはいつものことです。
でも、今回は発見でのCOは……どうしようかなぁ。
繰り返しになるしなぁ……ちょっと様子見。
それにしても。
色気って、どこにいけば落ちてるんでしょ、ね……!
― 回想 ―
うん、そうみたい。
わかんない、けど……
[アーベル>>146に頷き。
頭をなでられて、くしゃくしゃになった髪にもー、と苦笑を返す。
笑わせてもらったことは分かっているけれど]
気をつけて、いってらっしゃい。
[出て行くアーベル>>151を見送り。
それに団長が用事があると声をかけるのをみやり、同じようにとどめられて首をかしげ]
えと、それは、いいけど……
[そして、皆が来るまで仕事をして――]
― 黒珊瑚亭 ―
[みんなが集まって、団長の話が進むにつれ表情が強張る。
嘘かほんとか分からないけれど、団長の話を父親が遮らないからきっとほんとなんだろうと思った]
え……
一人……は、てこと……?
[え、と頭が追いつかずに首をかしげ。
しかも明日直にという話に、蒼冷めた顔を周囲に向けた。
父親とも視線が合うが、助けはなく。
見えないところで黒珊瑚亭亭主と父親としての葛藤をしていることにすら気づかぬままに、周囲をきょろきょろと見た]
― 自宅 ―
[老人を家まで送り届けた後、真っ直ぐに自宅まで引き返す。
其処此処に転がる残骸は軽く蹴り飛ばし、
大きな物は拾い上げ一時除けて簡易の道を作り出す]
[扉を潜れば籠を置き髪を解く。
海風に軋む髪を梳き、もう一度束ね直した後、
籠を開いて空になった水の筒を取り出した。
奥に置いた瓶から木蓋を退け、杓子で汲み上げ注ぎ始めた、時]
――……何か?
[戸を叩く音に応じ開いた先に立つのは自衛団員。
自衛団長からの呼び出しと知れば、訝しげに紅玉が眇められた]
黒珊瑚亭か。……わかった。
少し済ませたい事がある故、終わらせたらすぐに。
[少しの間を置き、首肯を置いて]
― → 黒珊瑚亭 ―
[右腕に薬籠を携えて現れたのは、其れから暫くの後。
筒の全てに水を詰め直し軟膏を補充し。
浜に一度寄り、回収した雨除けの布を肩に負って]
……物々しいな。
[自身は11人の内の何番目であったろうか。
漂う空気の重さにひとつ呟き、籠は空いた席に置いて
自身はすぐ横の椅子に腰を下ろす]
[全員揃ってから語られる内容に
紅玉は見開かれ、幾度と瞬きを繰り返した]
……噂と、思って居たのに。
[零れた呟きは拾われたか拾われぬか。
酷く乾いて、床に落ちた]
― 広場近く ―
[浜から自宅への道を戻る途中、
広場みえるその通りで呼び止められる。
振り返れば其処には早朝に会ったばかりの女が居た]
そんなに慌てて如何したの?
[息切らす彼女に驚き隠せぬ様子で問いかける。
すると、家に戻ってはいけない、と繰り返し訴えてくる]
何があったのか話してくれるかい。
[上下する肩を軽く撫でて彼女が落ち着くのを待つ。
自衛団員である父から聞いた話だという前置きの後、
浜で遺体となって見つかった旅人が居た事、
その容疑者が宿に集められるらしい事を語りだす]
――…戻るのを止めるってことは
キミの父親が俺を待ち構えてるって事かな。
[ため息混じりの呟きが漏れた。
女は泣き出しそうな顔で頷く。
昨夜は一緒に居た事も父親に伝えたとも言っていたが
それは証言として扱われぬ代物のようだった]
庇ってくれてありがとう。
けれど、もう言わなくていい。
年頃の女性が男と夜を明かしたなんて……
キミの父上も悲しまれるだろうし、ね。
[宥める声は密やかに紡がれる]
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